子どものテスト結果、最初に「何点だった?」と聞かない方がいい?

学校からテストが返ってくる日。

「テスト返ってきた? 何点だった?」

何気なく聞いたら、子どもが急に不機嫌になったり、黙り込んでしまったり。そんな経験はありませんか。

点数を聞くのは、わが子の勉強が気になるからこそです。

「ちゃんと理解できているかな」
「困っていることはないかな」
「前よりできるようになったかな」

親としてそう思うのは自然なことです。

でも、子どもは「点数で評価されるのかな」「叱られるかもしれない」と受け止めることもあります。

では、点数は聞かない方がよいのでしょうか。

結論から言うと、「何点だった?」と聞くこと自体は悪くありません。大切なのは、点数だけで子どもを判断しないこと。そして、その結果をどう受け止め、次の勉強にどうつなげるかです。

この記事では、文部科学省の学習評価に関する資料やOECDの国際調査を参考に、テスト結果を見たときの声かけと、家庭でできる振り返りの方法を紹介します。

第1章 「何点だった?」と聞くのはよくないこと?

点数を聞くこと自体は悪くない

テストの点数は、子どもの学習状況を知るための大切な手がかりです。

どの教科が得意で、どこにつまずいているのか。それを知るためには、結果を確認することも必要です。

例えば、数学が前回70点、今回85点だったら、15点上がったことは喜ばしいことです。

反対に、前回80点だったのに今回60点だったら、何があったのか気になるでしょう。

ただし、テストの難しさや出題範囲が違えば、点数だけで学力が上がった、下がったとは言い切れません。

文部科学省が2019年に出した学習評価に関する通知でも、評価を子どもの学習改善や教師の指導改善につなげることが重視されています。

テスト結果は、点数を見て終わりにするものではなく、次の学習を考えるための材料でもあるのです。

子どもの様子に合わせて聞き方を変える

同じテストの話でも、子どもの様子によって適した言葉は変わります。

子どもの様子声かけの例
嬉しそうにしている「どうだった? 頑張ったところを教えて」
落ち込んでいる「何か気になることがあった?」
話したがらない「落ち着いたら一緒に確認しようか」

普段から親子で自然に点数の話をしている家庭なら、「何点だった?」を無理に避ける必要はありません。

大切なのは、言葉選びだけでなく、子どもの表情や気持ちにも目を向けることです。

第2章 なぜ子どもはテストの点数を聞かれるのを嫌がるの?

子どもが点数を聞かれたくない背景には、さまざまな気持ちが考えられます。

もちろん、すべての子どもに当てはまるわけではありません。

ここでは、家庭で考えられる4つの気持ちを紹介します。

① 親をがっかりさせたくない

「今度こそ頑張ってね」

「次は80点を目指そう」

こうした言葉を励ましとして受け取る子もいれば、期待に応えられなかったと感じて、結果を言い出しにくくなる子もいます。

② 叱られるのではないかと心配している

以前、テストを見せたときに強く注意された経験があると、次からは結果を伝えることに慎重になる場合があります。

「また勉強していなかったんでしょう?」

「どうしてこんな問題を間違えたの?」

こうした言葉が続くと、子どもは間違えた理由を話しにくくなるかもしれません。

③ 自分でも結果に落ち込んでいる

一生懸命勉強したのに、思うような点数が取れなかった。

そんなときは、本人も悔しい思いをしているでしょう。

すぐに原因を問い詰めるより、

「悔しかったね」

「頑張っていたのは知っているよ」

と、まず気持ちを受け止めることも大切です。

④ 頑張った過程も見てほしい

テストの点数には表れにくい成長もあります。

例えば、次のような変化です。

  • 苦手だった英単語を覚えられるようになった
  • 毎日机に向かう習慣がついた
  • 数学の途中式を書けるようになった
  • 分からない問題を先生に質問できた

どれも、次の学習につながる大切な一歩です。

勉強を頑張っているのに結果が出ないときの保護者の関わり方も紹介しています。
「頑張っているのに結果が出ない」子どもに親がかけたい言葉|成績が伸びないときの接し方

OECDの調査から分かること

OECD(経済協力開発機構)が実施したPISA 2022では、家庭からの支援が多いと答えた生徒ほど、学校への所属感や生活満足度、自律的に学ぶ自信が高い傾向が報告されています。

また、親子の日常的な交流や学習についての会話と、生徒の学習方略との関連も分析されています。

ただし、PISAは主に15歳の生徒を対象とした調査です。

「何点だった?」と聞くと成績が下がる、あるいは特定の声かけで成績が上がる、ということを証明したものではありません。

家庭での会話を考えるうえでの参考として受け止めることが大切です。

第3章 テストの点数だけでは分からない3つのこと

点数は大切な情報ですが、それだけでは見えないこともあります。

文部科学省の学習評価の考え方を参考に、3つの視点からテスト結果を見てみましょう。

① 学習過程|どう準備した?

テストに向けて、いつから、どのように勉強したのでしょうか。

例えば、次のような点です。

  • 学校のワークを何回解いたか
  • 間違えた問題を解き直したか
  • 暗記だけでなく、問題を解く練習をしたか
  • 分からないところを質問できたか

こうした学習過程を振り返ることで、次に何を改善すればよいかが見えてきます。

ただし、勉強時間が長ければよいというわけではありません。

時間の長さだけでなく、その内容や方法にも目を向けることが大切です。

② 理解度|何が分かった?

数学のテストで60点だった子どもが2人いたとします。

Aさんは計算問題をほとんど正解しましたが、文章題で多く失点しました。

Bさんは文章題の考え方は理解できていたものの、計算ミスが重なりました。

同じ60点でも、次に取り組むべきことは違います。

Aさんには文章題の読み取りや式の立て方の練習が必要かもしれません。

Bさんには計算の正確さを高める練習や、見直し方の工夫が役立つでしょう。

点数だけでなく、どの問題ができて、どこでつまずいたのかを確認してみましょう。

計算ミスや書き間違いが多い場合は、ケアレスミスの原因と対策も参考にしてください。
ケアレスミスが多い中学生へ|7つの原因と同じ間違いを減らす勉強法

③ 成長|何ができるようになった?

前回との点数比較も大切ですが、問題の難しさや出題範囲が違えば、単純には比べられないこともあります。

そこで、点数以外の変化にも目を向けてみます。

「前は解けなかった方程式が解けるようになった」

「英作文を最後まで書けるようになった」

「漢字の間違いが減った」

こうした成長を見つけることで、次に取り組む課題も考えやすくなります。

テスト結果を見るときは、「学習過程」「理解度」「成長」の3つを意識してみてください。

第4章 テスト結果を見たときのNG→OK声かけ7選

「では、実際に何と言えばいいの?」

そんな疑問にお答えするため、家庭でよくある7つの場面をまとめました。

場面避けたい声かけ(NG例)おすすめの声かけ(OK例)
① テストが返ってきた「何点だった?」と一方的に聞く「テスト、どうだった?」
② 点数が低い「なんでこんな点数なの?」「どこが難しかった?」
③ 前回より下がった「前より悪くなってる!」「前回と何が違ったと思う?」
④ 平均点以下だった「みんなはできているのに」「できた問題も確認しよう」
⑤ 勉強していたのに低得点「あんなに勉強したのに」「勉強の方法を一緒に考えよう」
⑥ 高得点だった「次は100点を取ってね」「どんな工夫がうまくいった?」
⑦ 結果を見せたがらない「隠さず見せなさい!」「落ち着いたら一緒に確認しよう」

点数が低かったときは、理由を問い詰めない

「なんでこんな点数なの?」

と聞かれても、子ども自身が原因をうまく説明できないことがあります。

そんなときは、

「どの問題が難しかった?」

「時間が足りなかった?」

と具体的に聞くと、振り返りやすくなります。

頑張ったのに結果が出なかったときは、方法を見直す

長時間勉強していても、教科書を読むだけだったり、答えを見ながら問題を解いていたりすると、本番で自力で解けない場合があります。

努力そのものは否定せず、

「今回の勉強でうまくいったことは?」

「次はどんな方法を試してみようか?」

と、勉強方法を見直すきっかけにしましょう。

高得点だったときも、結果だけで終わらせない

高得点を取ったときは、まず一緒に喜びたいものです。

そのうえで、

「どんな勉強が役立った?」

と聞いてみましょう。

うまくいった勉強方法を確認することで、次のテストにも生かしやすくなります。

NG・OKは絶対的なものではない

ここで紹介した言葉が、すべての子どもに同じように適しているわけではありません。

普段から自然に点数の話をしている親子なら、「何点だった?」と聞いても問題ないでしょう。

大切なのは正しい言葉を暗記することではなく、子どもが自分の結果を振り返り、次の行動を考えられるように関わることです。

第5章 テストが返ってきた日に実践したい3ステップ

テストが返ってきたら、次の3つの順番で話してみてはいかがでしょうか。

ステップ1|まず、子どもの気持ちを聞く

「自分ではどうだったと思う?」

「難しかった問題はあった?」

「頑張れたところはどこ?」

最初は点数の評価よりも、子どもの感想に耳を傾けます。

帰宅直後や疲れているときは避け、落ち着いて話せるタイミングを選びましょう。

子どもが話し始めたら、途中で否定せず、最後まで聞くことを心がけます。

ステップ2|できたことと課題を一緒に確認する

次に、答案を一緒に見ながら振り返ります。

例えば数学なら、

「計算問題はよくできているね」

「文章題はどこで迷ったの?」

「この問題、もう一度解けそう?」

というように、具体的な問題をもとに話すのがポイントです。

間違えた問題については、原因を考えてみましょう。

  • 知識が足りなかった
  • 解き方が分からなかった
  • 時間が足りなかった
  • 計算や書き写しでミスをした

すべての間違いを一度に直そうとする必要はありません。

まずは、優先して復習したい問題を選びましょう。

ステップ3|次の行動を1つ決める

最後に、次のテストに向けて何をするかを決めます。

例えば、次のような具体的な行動です。

  • 英単語を毎日10個ずつ復習する
  • 数学の間違えた問題を週2回解き直す
  • 理科の重要語句を覚えた後、問題集で確認する
  • テストの3日前までに学校のワークを終える

「次はもっと頑張ろう」だけでは、何をすればよいのかがはっきりしません。

「いつ」「何を」「どのくらい」やるかまで決めると、取り組みやすくなります。

このとき、親が一方的に決めるのではなく、子ども自身の考えを聞くことも大切です。

文部科学省の「生徒指導提要」(2022年改訂)でも、子どもが自分で考え、選び、決める「自己決定」の機会を大切にする考え方が示されています。

最初から大きな目標を立つ必要はありません。

続けられる小さな行動から始めてみましょう。

第6章 小学生・中学生・高校生で変えたい親の関わり方

子どもの年齢や発達段階によって、保護者に求められるサポートも変わってきます。

学年保護者の関わり方声かけ例
小学生できたことを一緒に見つける「前よりできるようになったね」
中学生勉強方法や時間の使い方を一緒に振り返る「今回の勉強でうまくいったことは?」
高校生本人の考えを尊重し、必要なときに相談に乗る「次に向けて、何か手伝えることはある?」

小学生|できたことを一緒に見つける

小学生のうちは、保護者と一緒に学習を振り返ることが役立つ場合があります。

例えば、算数のテストが70点だったとき。

「30点も間違えたの?」

と指摘する前に、

「この計算は全部できているね」

「文章題を一緒に見てみようか」

と、できたことと課題を確認します。

特に低学年では、間違えた問題を責めるのではなく、もう一度挑戦できる雰囲気をつくることが大切です。

中学生|勉強方法を一緒に振り返る

中学生になると、定期テストの教科数や範囲が増え、計画的な学習が必要になります。

今治市内の中学校でも、定期テストや実力テストなどを通じて、学習の定着状況を確認する機会があります。

例えば、5教科の合計点が前回より下がった場合でも、すべての教科が同じように下がったとは限りません。

数学は上がったけれど、英語が下がった。

理科はできたけれど、社会の暗記が間に合わなかった。

このように、教科ごとに振り返ることが必要です。

保護者は勉強時間を細かく管理するだけでなく、

「今回の勉強でうまくいったことは?」

「次は何を変えてみたい?」

と、子ども自身が考える機会をつくることも大切です。

高校生|本人の考えを尊重しながら支える

高校生になると、学習内容はさらに難しくなります。

また、進路や将来の目標によって、力を入れる教科も変わってきます。

保護者がすべてを管理するのではなく、本人が学習状況を把握し、必要な行動を選べるように支えることが重要になります。

例えば、

「数学が難しくなってきたみたいだけど、どう考えている?」

「何か手伝えることはある?」

と声をかけてみましょう。

相談されたときには一緒に考え、必要に応じて学校の先生などに相談することも一つの方法です。

ただし、学年が上がれば必ず自分で管理できるようになるわけではありません。

子どもの状況に合わせて、支援の程度を調整していきましょう。

第7章 テストの結果を次の成長につなげるために

テストの点数は、子どもの学習状況を知るための大切な情報です。

しかし、点数だけで子どもの努力や成長のすべてが分かるわけではありません。

家庭では、次の4つを意識してみてはいかがでしょうか。

① 点数だけを話題にしない

テストの結果だけでなく、普段の勉強や学校生活についても話す機会をつくりましょう。

「最近、学校で面白かったことは?」

「今、どの教科が難しい?」

何気ない会話が、子どもの学習状況を知るきっかけになります。

家庭での声かけに悩んでいる方は、子どもが勉強しないときの関わり方もご覧ください。
子どもが勉強しないとき、親はどこまで口を出す?小・中・高校生別の関わり方

② できたことや工夫にも目を向ける

点数が思うように伸びなかったときでも、以前よりできるようになったことがないか探してみてください。

「前は苦手だった問題が解けるようになったね」

「今回は早めにワークを始められたね」

結果だけでなく、具体的な行動や変化に目を向けることが大切です。

③ 間違いを次の学習に生かす

テストで間違えた問題は、今の課題を知るための材料です。

間違いを見つけたら、

「どうして間違えたのかな?」

「次はどうすれば解けそう?」

と一緒に考えてみましょう。

分からない問題があれば、教科書で確認したり、学校や塾の先生に質問したりすることも大切です。

④ 次の目標は具体的に決める

「次は80点を取る」という目標もよいでしょう。

ただし、それだけでは毎日何をすればよいのかが分かりません。

例えば、

「毎日10分、英単語を復習する」

「数学の間違えた問題を週末に解き直す」

といった具体的な行動も、一緒に決めておきましょう。

小さな行動を続けながら、必要に応じて方法を見直していくことが大切です。

まとめ|「何点だった?」の前に、子どもの気持ちにも目を向けてみませんか

テストが返ってきたとき、保護者が点数を気にするのは自然なことです。

「何点だった?」と聞くこと自体が悪いわけではありません。

ただし、子どもが落ち込んでいるときや、結果を話したがらないときには、少し聞き方を変えてみることも大切です。

「テスト、どうだった?」

「頑張れたところはあった?」

「次はどうしてみようか?」

そんな言葉から、子ども自身が結果を振り返る会話が始まるかもしれません。

テストは、点数を確認して終わりではありません。

できたことを確かめ、分からなかったことを見つけ、次の学習につなげる機会でもあります。

大切なのは、何点取ったかだけでなく、その結果から何を学び、次にどう行動するかです。

次にお子さんのテストが返ってきたときには、点数を聞く前に、まずお子さんの表情や気持ちに目を向けてみてはいかがでしょうか。

その小さな関わり方の工夫が、親子で前向きに学習を振り返るきっかけになるかもしれません。


参考資料

1.文部科学省
    「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」
     2019年3月29日

2.文部科学省
    「生徒指導提要(改訂版)」2022年12月

3.OECD
    「PISA 2022 Results, Volume II: Learning During – and From – Disruption」2022年調査・2023年公表

4.OECD
     「PISA 2022 Results, Volume V: Learning Strategies and Attitudes for Life」2022年調査・2024年公表

※本文中の声かけ例や家庭での実践方法は、上記資料の考え方を参考にした提案です。特定の言葉によって成績が上がることを保証するものではありません。

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