子どもが勉強しないとき、親はどこまで口を出す?小・中・高校生別の関わり方

「勉強しなさい」と何度言っても、なかなか机に向かわない。テスト前なのにスマホばかり見ている姿に、「このままで大丈夫なのかな」と不安になる。かといって、あまり口うるさく言うのもよくない気がする――。

子どもの勉強について、「親はどこまで口を出せばいいんだろう」と迷っている保護者の方は少なくないと思います。

先に結論をお伝えすると、親の関わり方は「口を出す」か「何も言わない」かの二択ではありません。子どもの成長に合わせて、「指示する」から「一緒に考える」、そして「見守る」へと、少しずつ関わり方を変えていくことが大切です。小学生と高校生とでは、必要なサポートもずいぶん違います。

この記事では、子どもが勉強しない理由から、小学生・中学生・高校生それぞれへの関わり方、家庭でできる環境づくり、今日から使える声かけまで、塾で子どもたちと向き合ってきた立場からお話しします。

1.「勉強しなさい」と言っても、なぜ勉強しない?

勉強していない子どもを見ると、つい「やる気がないのかな」と思ってしまいます。でも、勉強しないからといって、やる気がないとは限りません。まずは「どうして始められないんだろう」と考えてみるところから始めましょう。よくある理由は、次の5つです。

① 何を勉強すればいいか分からない

「勉強しなさい」と言われても、本人は「で、何からやればいいの?」という状態なのかもしれません。

特に定期テスト前は、5教科それぞれにワークやプリント、暗記、解き直しがあり、やることが一気に増えます。やるべきことが多すぎて、かえって最初の一歩が踏み出せない。そんなことも珍しくありません。

「定期テストで何から始めればよいか迷っている場合は、こちらの記事で5教科の進め方を詳しく紹介しています。」
「テスト勉強は何から始める?5教科の『順番』の決め方」

② 分からないところが増えている

勉強が分からなくなってくると、机に向かうこと自体がつらくなります。数学なら、いま習っている単元ではなく、もっと前の内容につまずきの原因があることもよくあります。本人でさえ「どこから分からなくなったのか分からない」ということもあるでしょう。

愛媛県が2024年10〜12月に行った「こどもの生活に関する調査」では、中学2年生の51.0%が、学校の授業について「教科によってはわからないことがある」と答えています。高校2年生では56.5%でした。

「分からない」が積み重なっているときに必要なのは、「もっと勉強しなさい」という言葉ではなく、どこで困っているのかを一緒に見つけることです。

③ 勉強しても成果を感じられない

本人なりに頑張ったのに、テストの点数が思ったほど上がらなかった。そんな経験が続くと、「やっても変わらない」「どうせこの教科は苦手だから」と思ってしまいます。

そんなときは点数だけでなく、「前より計算ミスが減ったね」「今回は提出物を早めに終わらせられたね」といった小さな変化にも目を向けてあげてください。

④ 部活動や学校生活で疲れている

中学生や高校生になると、部活動や委員会、学校行事などで毎日が忙しくなります。家に帰った時点でくたくたで、すぐには勉強に切り替えられない日もあるはずです。「いま勉強していない」という場面だけでなく、その日一日の過ごし方も見てあげたいところです。

⑤ スマホやゲームなど、ほかにやりたいことがある

スマホやゲーム、動画は、手に取ればすぐに楽しめます。「ちょっとだけ」のつもりが、気づけば1時間たっていた、ということもあるでしょう。

だからこそ、そのたびに注意するより、「いつ使うか」「勉強するときはどうするか」を前もって親子で話し合っておくほうが効果的です。

「なんで勉強しないの?」と問い詰める前に、「何か困っていることはない?」と考えてみる。そこが、親の関わり方を見直す出発点になります。

2.親が口を出しすぎるとどうなる?

誤解のないようにお伝えしておくと、「親は勉強のことに口を出さないほうがいい」という話ではありません。子どもの勉強や将来が気になるからこそ声をかけるのは、親として自然なことです。

気をつけたいのは、その声かけが「命令」や「監視」ばかりになってしまうことです。たとえば、こんな言葉が毎日のように続いたらどうでしょうか。

  • 「早く勉強しなさい」
  • 「まだ宿題してないの?」
  • 「いつまでスマホを見ているの?」
  • 「テスト前なのに大丈夫?」
  • 「○○ちゃんはもっと勉強しているよ」

子どもの側は「今やろうと思っていたのに」「また言われた」と感じ、やがて「言われたから仕方なくやる」ようになっていきます。そうなると勉強は、自分のためにするものではなく、親に言われたからするものに変わってしまいます。

とはいえ、何もかも本人任せにすればいいわけでもありません。提出物が出せていない、勉強のやり方が分からない、生活リズムが崩れている――。そんなときは、やはり大人の手助けが必要です。

目指したいのは、「管理する」から「一緒に考える」、そして「見守る」へと移っていく関わり方です。子どもができるようになったところから、少しずつ任せていきましょう。

3.「勉強させる」より「勉強できる環境」をつくる

毎日「勉強しなさい」と言わないと始まらない状態は、子どもにとっても親にとってもしんどいものです。そこで考えたいのが、声をかけ続けなくても勉強を始めやすい環境づくりです。次の5つを、親子で話し合ってみてください。

① 勉強する時間

「時間があったらやる」では、なかなか始められません。「夕食後の19時30分から」「部活から帰って30分休んだら」など、始めるタイミングをおおまかに決めておきましょう。

毎日きっちり同じ時刻でなくても構いません。いつ始めるかが決まっていることが大事です。

② 勉強する場所

自分の部屋のほうが集中できる子もいれば、リビングのほうがはかどる子もいます。「勉強は自分の部屋で」と決めつけず、本人が集中しやすい場所を一緒に探してみてください。

③ スマホの扱い

親が「スマホは禁止」と決めてしまうより、「勉強している間、スマホはどうする?」と本人に聞いてみるのがおすすめです。

リビングに置いておく、通知を切る、30分勉強したら休憩中に見る、といったルールを子ども自身に考えてもらいましょう。自分で決めたルールのほうが、守ろうという気持ちになりやすいものです。

④ 睡眠時間

勉強時間を確保するために、毎晩のように睡眠を削るのはおすすめできません。机に向かった時間だけでなく、翌日の学校生活まで含めて生活リズムを考えたいところです。

⑤ テストまでの予定

特に中学生は、テスト直前になって「こんなに範囲があったの?」と慌てることがあります。

2週間前くらいに、「今回はどの教科から始める?」「学校のワークはいつまでに終わらせる?」と一緒に確認するだけでも、ずいぶん違ってきます。

「中学生のテスト2週間前からの具体的な進め方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。」
「定期テスト2週間前から何をする?中学生の勉強スケジュール」

スマホは「禁止」より「使い方を決める」

令和8年度(2026年度)の全国学力・学習状況調査では、平日にSNSや動画を4時間以上見ていると答えた子どもが、小学6年生で21.7%、中学3年生で28.5%にのぼりました。また、視聴時間が長いグループほど、教科の平均正答率が低い傾向も見られています。

ただし、この結果だけで「スマホを長く使うから成績が下がる」と言い切ることはできません。スマホを悪者にするのではなく、「勉強するときはどう使うか」を家庭で話し合うきっかけにしていただければと思います。

4.小学生・中学生・高校生で親の関わり方は変える

この記事でいちばんお伝えしたいのが、この章です。親の関わり方に、どの子にも当てはまる正解があるわけではありません。年齢や、本人がどこまで自分でできるかに合わせて、少しずつ変えていく必要があります。

学年親の基本姿勢おすすめの関わり
小学生一緒に習慣をつくる時間・場所・宿題などを一緒に確認する
中学生本人に考えさせるテスト日程や学習計画について相談する
高校生本人主体にする必要なときに相談できる環境をつくる

小学生|「管理する」より「習慣を一緒につくる」

小学生は、まだ自分で時間を管理したり、何から手をつけるか決めたりするのが難しい年頃です。ですから、ある程度は大人が関わって構いません。

ただ、「宿題しなさい」で終わらせるのではなく、「今日の宿題は何がある?」「どれからやる?」「何時から始めようか?」と一緒に確認してみてください。

小学生のうちは、勉強する習慣を親子でつくっていく時期だと考えるとよいと思います。

「小学生のうちに育てておきたい『自分で勉強する力』については、こちらの記事も参考にしてください。」
小学生のうちに身につけたい「勉強する力」5つ|中学生になる前に家庭でできること

中学生|少しずつ本人に考えさせる

中学生になると、定期テストに部活動にと、自分で管理しなければならないことが一気に増えます。ここからは、本人が決める範囲を少しずつ広げていきましょう。

たとえばテスト2週間前なら、「勉強したの?」ではなく「あと2週間だけど、今回はどう進める?」と聞いてみます。

子どもが「まず数学のワークをやる」と答えたら、「いつまでに終わらせる?」と、もう一歩だけ具体的にしてあげる。親が完璧な計画表を作って渡すより、子ども自身が考える余地を残しておくことが大切です。

高校生|本人主体で、親は相談できる存在に

高校生になると、勉強の内容も進路も一人ひとり大きく違ってきます。大学進学、専門学校、就職と、目指す道によって必要な準備もさまざまです。

この時期は、親が勉強の中身まで細かく管理するより、「最近どう?」「何か困ってることある?」と声をかけ、困ったときに話せる存在でいることのほうが大切です。

愛媛県の「こどもの生活に関する調査」でも、勉強を「家の人に教えてもらう」割合は、学年が上がるにつれて低くなっています。子どもが成長すれば、勉強そのものからは親の手が少しずつ離れていくのは自然なことです。

それでも、相談相手としての親の役割がなくなるわけではありません。

「高校生の勉強時間と勉強の質については、こちらの記事で詳しく解説しています。」
高校生は1日何時間勉強すればいい?時間より大切な「勉強の質」の話

5.「勉強しなさい」をどう言い換える?

では、実際にはどんなふうに声をかければいいのでしょうか。一つの方法は、命令を「子どもが考えて答えられる質問」に変えることです。

つい言ってしまう言葉こんな言い方に変えてみる
勉強しなさい今日は何をする予定?
宿題やった?宿題はどのくらい残ってる?
スマホばかり見ないで何時から始める?
テスト大丈夫なの?今回、一番心配な教科はどれ?
もっと勉強しないと今回は何を頑張りたい?

「勉強しなさい」という言葉は、「今から勉強する」という答えを親が先に決めてしまっています。

一方、「今日は何をする予定?」と聞かれれば、子どもは「数学をやる」「英単語を覚える」「20時から始める」と、自分で考えて答えることになります。

ここで気をつけたいのは、返ってきた答えをすぐに否定しないことです。

子どもが「今日は数学を30分やる」と言ったときに「30分だけ?」と返してしまうと、せっかく自分で決めた意味が薄れてしまいます。

まずは「分かった、やってみよう」と任せて、終わったら「どうだった?」と聞いてみる。

自分で決める → やってみる → 振り返る。

その小さな経験の積み重ねが、自分で勉強する力につながっていきます。

もちろん、声かけを変えたからといって、次の日から急に自分で机に向かうようになるわけではありません。

親が答えを出し続けるのではなく、本人が考える場面を少しずつ増やしていく。それくらいの気持ちで続けてみてください。

6.それでも勉強しないとき、親はどこまで待つ?

ここまで読んで、「それでも全然勉強しなかったらどうするの?」と思われた方もいるかもしれません。

本人に任せることと、何もしないことは違います。迷ったときは、次のような目安で考えてみてください。

まずは見守ってもよい状態

  • 本人なりの学習計画がある
  • 学校の提出物は出せている
  • テスト前には自分なりに勉強を始めている
  • 睡眠などの生活リズムが大きく崩れていない
  • 困ったときには相談できている

こうした様子が見られるなら、親の目には勉強時間が少なく映ったとしても、まずは本人のやり方を見守って大丈夫です。

少し関わったほうがよい状態

  • 提出物を何度も出せていない
  • テスト前でも、何から始めればいいか分からない
  • 分からない内容を長い間そのままにしている
  • 生活リズムが大きく崩れている
  • 本人が「どうしたらいいか分からない」と困っている

こんなときは、大人のサポートが必要です。

ただ、「だから言ったでしょう」から入るのではなく、「どこで困ってる?」と聞くところから始めましょう。

そのうえで、原因に合わせて手を差し伸べます。

何から始めればいいか分からないなら、やることを一緒に書き出す。予定が立てられないなら、テストまでの日数を一緒に確認する。内容が分からないなら、学校や塾の先生に質問するよう背中を押す。

親がすべてを解決する必要はありません。困ったときに必要な助けにつないであげることも、立派なサポートです。

7.今治市・大西町の子どもたちを見て感じること

今治市・大西町の子どもたちを見ていても、学校生活と勉強を両立させるのは簡単なことではないと感じます。

特に中学生は、部活動や学校行事をこなしながら、定期テストの勉強もしなければなりません。テストと大会、行事が重なる時期もあり、「勉強しなきゃいけないのは分かってる。でも何から始めればいいか分からない」という声もよく聞きます。

今治市が公表している令和7年度全国学力・学習状況調査の分析によると、平日に授業以外で1時間以上勉強していると答えた中学生は、今治市で56.8%。愛媛県(56.3%)とほぼ同じですが、全国(61.6%)を下回っています。

令和3年度の71.8%からも大きく減っており、市も家庭学習の定着を課題の一つに挙げています。そのうえで、「自分で考え、自分から取り組む」姿勢は、授業だけでなく家庭での学習でも大切だとしています。

家庭での関わり方を考えるうえでも、心に留めておきたい視点です。

大人が予定を全部決めてしまえば、その日は勉強できるかもしれません。でも、いつまでも誰かに決めてもらわないと勉強できないままでは、学年が上がったときに本人が困ってしまいます。

だからこそ、「今週はいつなら勉強できそう?」「テストまでに何を終わらせる?」「今日は何から始める?」と一緒に整理しながら、最後は本人に決めてもらうようにしています。

BONDSでは、「分かる → 解く → できる」という流れを大切にしています。

最初は教えてもらわないと分からなかったことも、練習を重ねるうちに自分の力で解けるようになる。「できた」という経験が増えていけば、次の問題にも前向きに取り組めるようになります。

家庭学習も同じではないでしょうか。

最初は大人と一緒に考え、できるようになったところから少しずつ任せていく。そしていつか、自ら学び、自ら考え、自分で動けるようになる。

その成長を支えることが、家庭と塾の大切な役割だと私たちは考えています。

8.まとめ|親の役割は「勉強させる人」から「自分で学べるよう支える人」へ

子どもが勉強していないと、「このままで大丈夫だろうか」と心配になるのは当然のことです。でも、親の関わり方は「何も言わない」か「全部管理する」かの二択ではありません。

小学生のうちは、一緒に勉強の習慣をつくる。

中学生になったら、自分で計画を考える機会を増やす。

高校生では本人に任せながら、困ったときに相談できる存在でいる。

子どもの成長に合わせて、親の役割も少しずつ変わっていきます。

家庭でできることを3つにまとめると、次のようになります。

  1. 話を聞く
    「なんで勉強しないの?」と決めつける前に、「何か困ってる?」と聞いてみる。
  2. 環境を整える
    勉強する時間や場所、スマホの使い方などを親子で考える。
  3. 本人に決めさせる
    「何をする?」「いつやる?」と問いかけ、本人が決める範囲を少しずつ広げる。

目指すのは、親に言われなくても、自分で考えて行動できるようになることです。

今日、「勉強しなさい」と言いたくなったら、その言葉を少しだけ変えて、

「今日は何をする予定?」

と聞いてみてはいかがでしょうか。

その小さな一言が、子どもが自分で考えるきっかけになるかもしれません。

「家庭での学習習慣や保護者のサポートについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。」
成績が伸びやすい家庭の習慣とは?小・中・高の段階別に考える家庭でのサポート

参考資料・出典

※本記事で紹介した調査結果は、子どもの学習行動について原因と結果を断定するものではありません。調査から読み取れる傾向を、家庭での関わり方を考える参考としてご紹介しています。

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ikeda

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