小学生のうちに身につけたい「勉強する力」5つ|中学生になる前に家庭でできること

「テストでは点が取れているけれど、中学生になっても大丈夫だろうか」「宿題はするけれど、親が声をかけないと始めない……」。小学生のお子さんを持つ保護者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。

小学生の勉強というと、漢字を覚える、計算ができる、テストで100点を取る、といったことに目が向きがちです。もちろん基礎的な知識や計算力は欠かせません。ただ、それと同じくらい小学生のうちに育てておきたいのが、「自分で勉強する力」です。

中学・高校と進むにつれて、勉強の量は増え、内容も難しくなります。そのとき支えになるのは、何を勉強するかを考え、分からないところを見つけ、間違えたらやり直し、うまくいかなければやり方を変える力です。この記事では、その力を5つに分けて、家庭でできる関わり方と一緒に紹介します。

「何時間勉強したか」より「どう勉強したか」

家庭学習というと、まず「毎日何時間やればいいですか?」という疑問が浮かぶかもしれません。文部科学省が2026年8月に公表した「令和8年度 全国学力・学習状況調査」の分析では、平日に授業以外で1日1時間以上勉強している小学6年生は50.3%で、5年前の62.8%から12.5ポイント下がりました(秋田魁新報・共同通信配信記事)。勉強時間を確保すること自体は、今あらためて意識したいテーマです。

ただ、時間と同じくらい中身も問われます。同じ30分でも、声をかけられるまで始めず、答えを写して終わり、間違いもそのまま、という30分と、自分で始め、まず自分で考え、丸付けをして間違いを解き直す30分とでは、身につくものがまったく違います。

特に差がつきやすいのが、間違えた問題をどう扱うかです。答え合わせで終わるのか、なぜ間違えたかを考えて解き直すのか。毎日の小さな違いですが、学年が上がるにつれて大きな差になっていきます。

小学生のうちに身につけたい「勉強する力」5つ

① 自分から勉強を始める力

毎日「宿題したの?」「早くやりなさい」と言われてから始めていると、勉強のスイッチがいつも保護者の声かけになってしまいます。とはいえ、低学年からすべて一人でできる必要はありません。

最初は親子で「いつやるか」を決めておくのがおすすめです。たとえば「帰宅 → おやつ・休憩 → 宿題 → 明日の準備 → 自由時間」という流れを決めておくだけで、勉強の時間が生活の一部になります。続けるコツは、量を欲張らないことです。毎日できる量を決め、できた日はカレンダーに印をつけるなど、続いていることが目に見える工夫をしてみてください。

高学年になったら、「今日は何時から始める?」「どれからやる?」と、少しずつ本人に決めてもらいます。目指すのは、保護者が何も言わなくなることではなく、「言われたからやる」から「自分で決めて始める」へ移っていくことです。

② 分からないことに気づく力

宿題のあとに「分かった?」と聞くと「分かった」と答えるのに、翌日同じような問題を一人で解かせるとできない。これは珍しいことではありません。説明を聞いて分かることと、一人で解けることは別物だからです。

そこでおすすめなのが、解いた問題に印をつける方法です。

  • ○:自分一人でできた
  • △:できたけれど少し不安
  • ×:分からなかった

目的は×をなくすことではなく、「ここが分からない」と自分で気づけるようになることです。「計算はできるけれど文章題になると手が止まる」「漢字は読めるけれど書けない」と切り分けられるようになると、次にやるべきことが具体的になります。

文部科学省の学習評価の考え方でも、「主体的に学習に取り組む態度」には、粘り強く取り組む側面と、自らの学習を調整しようとする側面の2つがあるとされています。自分の理解度を振り返る習慣は、その第一歩です。

③ 自分の言葉で説明する力

算数で「答えは36」と言えることに加えて、「どうしてその式にしたの?」と聞かれたときに説明できるでしょうか。国語の選択問題でも、「どうしてこれを選んだの?」と聞いてみると、本当に文章を読めているかが見えてきます。

家庭で難しい問題を用意する必要はありません。「どうしてそう思ったの?」「どうやって考えたの?」と聞くだけで十分な練習になります。中学・高校、そして大学入試へと進むほど、知識を覚えているかだけでなく、知っていることを使って考え、表現する力が問われるようになります。小学生のうちから、答えの理由を話す経験を少しずつ積んでおきましょう。

④ 間違いをやり直す力

家庭学習で見てほしいのは、間違えなかったかどうかより、間違えたあとに何をしたかです。正しい答えを書き写して終わりにするのではなく、まず原因を考えます。原因が違えば、やることも変わります。

間違いの原因次にやること
計算ミス途中式を丁寧に書く
問題文の読み違い大切な条件に線を引いてから解く
解き方が分かっていない教科書や例題に戻る

「解く → 丸付け → 間違いを確認 → 原因を考える → もう一度解く」までを、ひとまとまりの勉強と考えてみてください。間違いは「できなかった証拠」ではなく、次に何を勉強すればよいかを教えてくれる材料です。

⑤ やり方を変える力

粘り強く取り組むことは大事です。しかし、同じ方法で何度やっても分からないなら、努力の量ではなくやり方を変える必要があります。

うまくいかないことやり方の変え方
問題集が難しすぎる教科書の例題まで戻る、1つ下のレベルの問題集にする
漢字を何度書いても覚えられない読みながら書く、短い文の中で使ってみる
解説を読んでも分からない「ここから分からない」と場所を示して先生や家族に質問する
暗記がすぐ抜ける一度にまとめてやらず、翌日・3日後に分けて見直す

「もっと同じことをやる」だけでなく、「どうすればできるようになるだろう?」と考えられる子は、学年が上がって勉強が難しくなっても自分で道を探せます。人に質問することも、立派な「やり方を変える」方法の一つです。

家庭でできること:声かけを少し変えてみる

保護者がすべての勉強を教える必要はありません。家庭で一番効果があるのは、子ども自身が考えるきっかけになる声かけです。いつもの一言を、次のように言い換えてみてください。

いつもの声かけ言い換えの例育つ力
「早く勉強しなさい」「今日は何時から始める?」① 自分から始める
「本当に分かってる?」「○△×をつけてみようか」② 分からないことに気づく
「答えは○○でしょ」「どうやって考えた?」③ 自分の言葉で説明する
「なんでこんな問題を間違えたの?」「どこで分からなくなった?」④ 間違いをやり直す
「もっとたくさんやりなさい」「ほかのやり方も試してみる?」⑤ やり方を変える

勉強が終わったら、「今日は何ができるようになった?」と聞いてみるのもおすすめです。答えを教えることより、考えるきっかけを渡すことを意識してみてください。

スマホ・タブレットとの付き合い方も家庭で話し合う

家庭学習を考えるうえで、今避けて通れないのがスマートフォンや動画との付き合い方です。先ほどの令和8年度調査では、平日にSNSや動画視聴などに1日3時間以上使う小学6年生が37.3%にのぼり、利用時間が長いほど各教科の平均正答率は低い傾向がみられました(秋田魁新報・共同通信配信記事)。

学習塾BONDSのある今治市でも、この点は重視されています。今治市教育委員会の「令和8年度 今治市教育行政の重点方針及び事業」では、学校と家庭が協力してICT機器の使い方のルールづくりを進めること、家庭では「家庭学習チェックリスト」や「スマホ依存対策アプリ」の周知を通じて学校と連携することが掲げられています。

「使わせる・使わせない」の二択ではなく、次のようなことを親子で話し合って決めてみてください。

  • 平日は何時まで使うか
  • 勉強中はスマホをどこに置くか(別の部屋、リビングの充電場所など)
  • ルールを守れなかったときはどうするか

大人が一方的に決めるより、子ども自身が納得して決めたルールのほうが守られやすくなります。成長に合わせて、少しずつ本人に任せる部分を増やしていきましょう。

まとめ:小学生のうちに「自分で学べる子」へ

小学生のうちに身につけたい「勉強する力」は、次の5つです。

  1. 自分から勉強を始める力
  2. 分からないことに気づく力
  3. 自分の言葉で説明する力
  4. 間違いをやり直す力
  5. やり方を変える力

すべてを小学生のうちに完璧にする必要はありません。低学年なら決まった時間に宿題をする、中学年なら自分で丸付けをして間違いを確認する、高学年なら「今日は何を勉強するか」を自分で決めてみる。発達段階に合わせて、「自分でできること」を少しずつ増やしていけば十分です。

保護者の方には、勉強時間やテストの点数だけでなく、「今日は自分から始められた」「間違いを自分で見つけられた」「分からないところを質問できた」という小さな変化にも目を向けていただきたいと思います。その積み重ねが、中学・高校で自分で学び続けるための土台になります。

学習塾BONDSでは、問題の解き方だけでなく、こうした「自分で勉強する力」を育てる指導を大切にしています。家庭学習の進め方に悩んだときは、お気軽にご相談ください。

参考資料・出典

投稿者プロフィール

ikeda

Follow me!