成績が伸びやすい家庭の習慣とは?小・中・高の段階別に考える家庭でのサポート
「家ではなかなか勉強しない」
「何度言っても、自分から机に向かわない」
「塾には通っているけれど、家庭ではどこまでサポートすればいいのだろう」
お子さんの勉強について、このような悩みを持つ保護者の方も多いのではないでしょうか。
成績というと、どうしても「勉強時間」や「塾でどれだけ勉強しているか」に目が向きがちです。
しかし、子どもの学習を支えているのは勉強時間だけではありません。
毎日の生活リズム、家庭学習の進め方、テスト後の振り返り、そして保護者の声かけなども、子どもが学習を続けていくための大切な要素です。
文部科学省・国立教育政策研究所の「全国学力・学習状況調査」でも、教科の問題だけでなく、生活習慣や学習習慣などについて調査されています。
ただし、ここで一つ注意しておきたいことがあります。
全国学力・学習状況調査の対象は、小学6年生と中学3年生です。そのため、本記事では小・中学生については公的調査を参考にしますが、その結果を高校生にそのまま当てはめることはしません。
また、「ある習慣のある子どもの方が平均正答率が高い」という結果があったとしても、その習慣だけが成績を上げたとは限りません。
つまり、「これをすれば必ず成績が上がる」という話ではないということです。
この記事では、公的な調査から見えてくる傾向を参考にしながら、小学生・中学生・高校生それぞれの段階で、家庭ではどのようなサポートができるのかを考えていきます。
1.まず整えたいのは「勉強するための生活の土台」
成績を上げようとすると、
「もっと勉強時間を増やさないと」
と考えがちです。
しかし、その前に一度確認しておきたいのが、毎日の生活です。
令和7年度全国学力・学習状況調査の児童生徒質問調査でも、朝食、就寝時刻、起床時刻など、基本的な生活習慣について質問されています。
もちろん、
「朝食を食べれば成績が上がる」
「早く寝れば成績が上がる」
という単純な話ではありません。
家庭で意識したいのは、子どもが勉強を始めやすく、続けやすい生活リズムをつくることです。
例えば毎日、
「今日はいつ勉強しよう?」
とその都度考えるのではなく、
「夕食の前に宿題をする」
「夜7時30分ごろから机に向かう」
など、大まかな流れを決めておく方法があります。
小学生なら、まず宿題を始める時間をある程度決める。
中学生なら、学校・部活動・塾・家庭学習を含めて一日の時間を考える。
高校生なら、学校の課題だけでなく、自分に必要な学習時間をどこに確保するか考える。
学年によって内容は変わりますが、まずは「勉強を始めやすい生活」をつくることが家庭学習の第一歩です。

2.「言われて勉強する」から「自分で考えて勉強する」へ
次に大切にしたいのが、子ども自身が学習を考える機会です。
全国学力・学習状況調査では、「家で自分で計画を立てて勉強をしていますか」といった、主体的な学習に関する質問も行われています。
家庭でも、
「何時間勉強したか」だけでなく、「何を勉強するかを自分で考えられているか」
という視点を持ってみてください。
例えば、定期テストまであと2週間だとします。
Aさんは、
「家の人に言われたから、とりあえず数学をする」。
一方、Bさんは、
「数学のワークが20ページ残っているから、今日は5ページ進めよう」。
同じ1時間勉強したとしても、Bさんは「テストまでに何をする必要があるか」を考えてから勉強しています。
家庭では、
「勉強しなさい」
だけでなく、
「今日は何をする予定?」
「テストまでに何を終わらせる?」
「今日はどこまで進める?」
と聞いてみる方法があります。
親がすべて決めるのではなく、子ども自身が計画を立てる機会を少しずつ増やしていくことが大切です。

3.「勉強しなさい」を少しだけ質問に変えてみる
子どもが勉強していなければ、
「勉強しなさい」
と言いたくなるのは自然なことです。
この言葉そのものが悪いわけではありません。
一方で、
「勉強しなさいと言う家庭だから成績が低くなる」
といった単純な因果関係で考えることも適切ではありません。
文部科学省では、令和3年度全国学力・学習状況調査とあわせて「保護者に対する調査」を実施し、その結果を使って、家庭の社会経済的背景や学習環境などと学力との関係について追加分析しています。
家庭での関わりと学力には、さまざまな要因が関係しています。
ですから、「勉強しなさい」と言った回数だけで、家庭の良し悪しを判断することはできません。
そこで家庭で試してほしいのが、指示の一部を「質問」に変えることです。
例えば、
「勉強しなさい」
→「今日は何をする予定?」
「早く宿題をしなさい」
→「何時ごろから始める?」
「この点数で大丈夫?」
→「今回はどこが難しかった?」
という具合です。
目的は、保護者が何も言わなくなることではありません。
子ども自身が、
「何をするのか」
「いつするのか」
「次はどうするのか」
を考える場面を少しずつ増やしていくことです。

4.テストは「何点だった?」だけで終わらせない
テストが返ってくると、どうしても点数が気になります。
もちろん、点数を確認することは大切です。
しかし、次の成績につなげるためには、点数と同時に「なぜ間違えたのか」を確認することも大切です。
例えば数学で60点だったとしても、原因は一人ひとり違います。
- 公式を覚えていなかった
- 問題文の意味を取り違えた
- 解き方そのものが分からなかった
- 計算ミスをした
- 時間が足りなかった
原因が違えば、次にする勉強も変わります。
そこで、テストが返ってきたら次の4ステップで考えてみましょう。
① 間違えた問題を確認する
② 間違えた理由を考える
③ もう一度解いてみる
④ 自力で解けるか確認する
例えば「計算ミスだった」と分かったら、それで終わりにせず、
「なぜ計算ミスをしたのか」
まで考えてみます。
途中式を省略したのかもしれません。
見直す時間がなかったのかもしれません。
こうして原因を具体的にすると、次に何を直せばよいかが見えやすくなります。
高校生の場合も、単に解き方を暗記するだけでなく、「なぜその考え方になるのか」を理解することが重要になります。
令和8年度大学入学共通テストの「問題作成方針」でも、知識・技能に加え、思考力・判断力・表現力等を問うことや、各教科・科目の特質に応じた「学習の過程」を重視する方針が示されています。
家庭で保護者が問題を解説する必要はありません。
「どこで間違えたと思う?」
「次に同じ問題が出たらどうする?」
と聞くだけでも、本人が学習を振り返るきっかけになります。

5.親が勉強を教えなくても、できることはある
「家庭で学習を支える」と聞くと、
「親も勉強を教えなければならないの?」
と思われるかもしれません。
しかし、特に中学生・高校生になると学習内容も難しくなり、保護者がすべてを教えることは現実的ではありません。
家庭でできることの一つは、子どもが困ったときに話せる環境をつくることです。
例えば、
「今、数学は何を習っているの?」
「テスト勉強で困っている教科はある?」
「今週は忙しかった?」
といった短い会話でも構いません。
中学生や高校生なら、
「別に」
「普通」
と返ってくることもあるでしょう。
そのときに無理に聞き出す必要はありません。
食事中などに短く聞いてみる、保護者自身の一日の出来事から話を始めてみるなど、話しやすいタイミングを待つ方法もあります。
すぐに詳しい話をしてくれなくても、
「困ったときには話してもいい」
と思える関係を保っておくことが大切です。
6.読書は「成績を上げるため」だけにしない
全国学力・学習状況調査では、読書に関する質問も行われています。
ただし、
「本をたくさん読めば必ず成績が上がる」
という因果関係を示しているわけではありません。
家庭では、読書を「成績を上げるためのノルマ」にするよりも、文章や情報に触れる機会の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
例えば、
- 興味のある本を読む
- 図書館へ行く
- 新聞やニュースについて話す
- 知らない言葉を調べる
- 読んだ内容について家族で話す
といった方法があります。
文章を読み、必要な情報を取り出す場面は国語だけではありません。
算数・数学の文章題、理科・社会の資料問題などでも必要になります。
高校生になれば、複数の文章や資料、グラフなどを読み取って考える場面も増えていきます。
その意味でも、普段から文章や情報に触れる経験は、さまざまな教科を学ぶための一つの土台になると考えられます。
7.小学生・中学生・高校生で親の役割を変えていく
家庭でのサポートは、ずっと同じである必要はありません。
子どもの成長に合わせて、少しずつ関わり方を変えていくことが大切です。
小学生|一緒に習慣をつくる
小学生のうちは、学習や生活をすべて自分で管理するのは難しい場合があります。
「宿題はいつする?」
「明日の準備はできた?」
と一緒に確認しながら、生活と学習のリズムをつくっていきます。
ただし、いつまでも親が全部準備するのではなく、
「今日は自分でやってみよう」
と、少しずつ本人に任せる範囲を増やしていきます。
中学生|「管理」から「見守り」へ
中学生になると、学校・部活動・塾・定期テストなど、自分で管理しなければならないことが増えます。
例えばテスト2週間前なら、
「勉強しなさい」
ではなく、
「テストまであと2週間だけど、今回はどう進める?」
と聞いてみます。
本人が考えた計画を確認しながら、無理があるところや困っているところだけ手助けします。
親が計画を作るのではなく、本人が作った計画を一緒に確認するという関わり方へ変えていきます。
高校生|任せながら相談相手になる
高校生になると、さらに本人が学習を管理する場面が増えていきます。
例えば模試が返ってきたとき、
「何点だった?」
だけではなく、
「どの大問で点を落とした?」
「知識不足だった?それとも時間が足りなかった?」
「次の模試までに何を変える?」
と聞いてみることもできます。
保護者が学習計画を作るのではなく、本人が振り返った内容を聞く役割へ移っていきます。
一つの目安として、
小学生=一緒にする
中学生=見守る
高校生=任せながら相談に乗る
と考えると分かりやすいでしょう。

8.今日から確認したい「家庭学習5つのチェック」
最後に、ここまでの内容を5つにまとめます。
□ 生活リズム
勉強を始める時間やタイミングは、ある程度決まっていますか?
□ 学習計画
「勉強しなさい」だけでなく、「今日は何をする?」と本人に考えさせていますか?
□ テスト後
点数だけで終わらせず、間違えた原因を確認していますか?
□ スマホ
勉強中のスマホの置き場所や使い方について、家庭で話し合っていますか?
例えば、「勉強中はリビングの充電場所に置く」など、具体的な方法を本人と相談して決める方法もあります。
□ 親子の会話
困ったときに相談できる雰囲気がありますか?
全部できている必要はありません。

まずは、
「これなら家庭でもできそう」
と思うものを一つ選んでみてください。
一度に全部変えるのではなく、一つの習慣から始める方が家庭でも取り組みやすいでしょう。
まとめ|目指したいのは「自分で学べる子」
成績は、家庭の習慣だけで決まるものではありません。
学校での学習、本人の得意・不得意、学習時間、学習方法、生活習慣など、さまざまな要因が関係しています。
だから、「成績が上がらないのは家庭のせい」と考える必要はありません。
家庭でできるのは、子どもが自分で学びやすい環境を少しずつ整えることです。
生活リズムを整える。
自分で学習計画を考える機会をつくる。
テストでは点数だけでなく、間違えた原因を見る。
「勉強しなさい」だけで終わらず、「どうする?」と問いかけてみる。
そして、成長に合わせて少しずつ本人に任せていく。
目指したいのは、いつまでも誰かに「勉強しなさい」と言われなければ動けない状態ではなく、自分で考え、自分で学習を進められるようになることです。
学習塾BONDSでも、ただ問題の解き方を教えるだけではなく、
「分かる → 解く → できる」
を繰り返しながら、自分で学習を進められる力を育てることを大切にしています。
家庭では生活や声かけを通して学びやすい環境を整え、塾では学習方法や理解・演習を支える。
家庭と塾がそれぞれの役割から、子どもたちの「自分で学ぶ力」を支えていければと考えています。
参考資料・出典
・国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料」
対象:小学6年生・中学3年生/令和7年度(2025年度)
・文部科学省「令和3年度 全国学力・学習状況調査『保護者に対する調査』結果」
対象:調査対象児童生徒の保護者/令和3年度(2021年度)
・文部科学省「令和4年度 追加分析報告書―保護者に対する調査の結果を活用した専門的な分析」
令和3年度の保護者調査を活用し、家庭の社会経済的背景、学習環境等と学力との関係について分析。
・大学入試センター「令和8年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針」
令和8年度(2026年度)
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