高1で成績が下がるのはなぜ?中学と高校の勉強の違いと立て直し方

「中学ではそこそこ成績が良かったのに、高校最初の定期テストで順位がガクッと下がった」

高校1年生から、こんな声を聞くことがあります。勉強をサボっているわけではないし、授業もまじめに受けている。それなのに思ったほど点数が取れず、授業のスピードについていくだけで精一杯、という人もいるでしょう。

保護者の方にとっても、「中学までは問題なかったのに、なぜ急に?」と気がかりなところだと思います。

でも、高校で順位が下がったからといって、急に勉強ができなくなったとは限りません。

高校では学ぶ内容が専門的になり、科目も細かく分かれます。学校やコースによっては、授業のペースも上がります。それに、中学で成績上位だった生徒が多く集まる高校に進めば、本人の学力が落ちていなくても、校内順位は下がることがあります。

大切なのは、勉強の中身だけでなく、勉強のやり方そのものを高校仕様に切り替えることです。

この記事では、中学と高校の勉強の違いを整理しながら、高1で成績が下がる理由と、そこからの立て直し方を考えていきます。


1.高1で成績が下がるのはなぜ? 高校で起きる6つの変化

高校に入ると、勉強を取り巻く環境はがらりと変わります。

成績が下がったと感じたときは、「勉強不足だったんだ」と片づけてしまう前に、まず何が変わったのかを整理してみましょう。

① 学習内容が難しくなる

高校では、中学で学んだことを土台に、より専門的で抽象的な内容を学んでいきます。

特に数学や英語は、中学の基礎があやふやだと、高校の内容を理解する途中でつまずきやすくなります。

「高校の問題が分からない」と思っていても、実は原因が中学の内容にあることも珍しくありません。

② 授業の進み方が速くなることがある

授業の進み方は、学校やコースによってさまざまです。

聞いているときは分かったつもりでも、そのままにしておくと授業はどんどん先へ進み、気づけば「どこが分からないのかも分からない」状態に。

授業のあとに自分で問題を解いて確かめることが、中学以上に大切になります。

③ 科目が細かく分かれる

中学では主要5教科が中心でしたが、高校では科目が細かく分かれます。

数学なら数学Ⅰ・数学Aといった具合に、学ぶ内容もより専門的です。

科目が増えれば、そのぶん定期テスト前に勉強しなければならない範囲も広がります。

④ 自分で学習を管理する場面が増える

何を勉強するか、どこまで進めるか、どの教科を優先するか。

高校では、こうしたことを自分で決める場面が増えていきます。

学校の課題をこなすだけでなく、自分の弱点を見つけて補う勉強も必要になってきます。

⑤ 勉強時間を確保しにくくなる

高校に入ると、通学時間が長くなったり、部活動が本格的になったりする人もいます。

帰りが遅くなると、つい「今日は疲れたから明日にしよう」となり、少しずつ勉強がたまっていきます。

だからこそ高校では、まとまった時間が取れる日を待つより、短い時間でも普段から続けることが大切です。

高校生の勉強時間については、「高校生は1日何時間勉強すればいい?」の記事でも詳しく紹介しています。

⑥ 比べる相手が変わる

意外と見落とされやすいのが、この変化です。

中学で成績上位だった生徒が集まる高校では、周りも勉強が得意な人ばかり。自分の学力が下がっていなくても、校内順位が下がることは十分にあり得ます。

順位だけを見て「高校に入って急にできなくなった」と決めつける必要はありません。

点数や順位よりも、どの問題ができて、どこでつまずいているのかに目を向けましょう。

高校生活になじめているかも見ておこう

成績が下がったときは、勉強のやり方だけでなく、生活全体にも目を向けてみてください。

高校に入ると、通学や友人関係、部活動、生活リズムなども大きく変わります。

文部科学省の令和5年度の調査では、高校の中途退学の主な理由として、「進路変更」41.3%、「学校生活・学業不適応」34.2%、「学業不振」6.8%などが報告されています。

ただし、「学校生活・学業不適応」にはさまざまな要因が含まれており、成績が下がることがそのまま中途退学につながるという意味ではありません。

原因を勉強だけに求めず、高校生活全体のなかで困っていることがないか、見守ることも大切です。


2.中学と高校では「勉強の仕組み」がどう違う?

文部科学省の「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」は、2022年度に高校へ入学した生徒から年次進行で実施されています。

高校では、知識・技能を身につけるだけでなく、それを活用して考え、判断し、表現する力も重視されています。

中学と高校の違いを整理すると、次のようになります。

比較中学校高校
学習内容基礎・基本を幅広く学ぶより専門的・抽象的な内容も増える
科目主要5教科を中心に学習科目が細かく分かれる
数学数学数学Ⅰ・Aなど
英語基礎的な語彙・文法・読解語彙・文法・読解などが高度化
授業基礎を確認しながら進む学校・コースによっては進度が速い
家庭学習テスト前中心でも対応できる場合がある普段からの復習・演習がより重要
学習で大切なこと基礎・基本を身につける知識を土台に考え、判断し、表現する

こうして並べてみると分かるように、高校では勉強量を増やすだけでは足りません。

勉強の進め方そのものを、高校に合わせて変えていく必要があります。

大学入試にもつながっていく

高校で身につける力は、その先の大学入試にもつながっています。

大学入学共通テストでも、知識・技能そのものに加えて、それを使って考える力が求められます。文章や資料、図表から必要な情報を読み取り、考えて答える問題にも対応しなければなりません。

だからこそ高1のうちから、

「覚えたから終わり」にせず、「覚えたことを使って問題を解けるか」

を確かめる習慣をつけておきたいところです。


3.つまずきやすい数学と英語|中学の「分かったつもり」が表に出る

高校で特につまずきやすいのが、数学と英語です。

数学は「公式を覚えた」だけでは足りない

数学は、公式を覚えただけで問題が解けるとは限りません。

例題を見れば分かるのに、数字や条件が少し変わると手が止まる。

これは「分かった」けれど「自分では解けない」という状態です。

問題を見たときに、どの公式を使うのか、なぜその公式なのかを、自分で判断できるところまで練習を重ねる必要があります。

英語は中学文法が土台になる

高校英語では単語が増え、英文も長く複雑になります。

そのとき、時制や助動詞、不定詞、動名詞、比較、受動態、現在完了、関係代名詞など、中学で習った文法があいまいなままだと、英文の構造をつかみにくくなります。

高校英語でつまずいたら、高校の教材を何度も繰り返すより、必要に応じて中学の内容まで戻ったほうが早く理解できることがあります。

「戻る勉強」は遠回りではありません。

分からなくなった地点まで戻って土台を作り直すことが、結果的には理解への近道になります。


4.「テスト前にまとめて勉強」が通用しにくくなる

中学では、テスト範囲が発表されてから集中して勉強すれば、ある程度なんとかなった人もいるでしょう。

でも高校では科目数も学習量も増えるため、テスト直前にすべてを復習しようとすると、時間が足りなくなりがちです。

そこで大切になるのが、普段の授業後の確認です。

たとえば問題を解いたら、次のように分けてみます。

  • ○:自分で解けた
  • △:考え方は分かるが、一人で解くには不安
  • ×:分からない

そして、△と×を優先して解き直します。

このとき気をつけたいのは、「解説を読んで分かった」ことと「できる」ことは違う、という点です。

BONDSでは、「分かる→解く→できる」という流れを大切にしています。

解説を読んで理解したら、もう一度自分で解いてみる。何も見ずに解けて、はじめて「できる」に近づきます。

自分で学習を管理する力も必要になる

PISA 2022では、学力だけでなく、生徒の学習への取り組み方についても調べられています。日本では、高校1年生を中心とする生徒が調査に参加しました。

そのなかに、学校が再び休校になった場合を想定して、「自分で学校の勉強をする予定を立てる」ことにどのくらい自信があるかを尋ねた質問があります。

日本の生徒の回答は、

  • 「とても自信がある」9.2%
  • 「自信がある」27.5%
  • 「あまり自信がない」38.8%
  • 「自信がない」24.5%

でした。

「あまり自信がない」と「自信がない」を合わせると、63.3%にのぼります。

もっとも、これは休校という特別な状況を想定した質問なので、この数字だけで「日本の高校生は自分で勉強できない」と判断することはできません。

ただ、高校では中学以上に、自分で予定を立て、理解できていないところを見つけ、必要な勉強を進めていく力が求められます。

勉強時間を増やすだけでなく、自分で学習を管理する習慣を少しずつ身につけていくことも大切です。


5.高1から成績を立て直す5つの方法

高校で一度成績が下がっても、勉強のやり方を見直せば立て直すことはできます。

すべてを一度に変える必要はありません。できるところから始めてみましょう。

① その日の授業を少しだけでも復習する

「毎日2時間」「3時間」と決める必要はありません。

まずは、授業で分からなかった問題を1問だけ解き直すところからで十分です。

大切なのは、分からないことをため込まないことです。

② ○△×で理解度を仕分けする

すべての問題を同じように復習する必要はありません。

○の問題よりも、△と×を優先しましょう。

特に△は「分かったつもり」になりやすいところです。何も見ずに自分で解けるか、必ず確認してください。

③ 英語と数学はためない

英語と数学は、それまでに学んだことが次の学習につながりやすい教科です。

短い時間でも、普段から続けて取り組むことが大切です。

④ 分からなくなったところまで戻る

高校の問題を繰り返しても理解できないときは、中学の内容まで戻って確認してみましょう。

数学なら計算や方程式、関数など、英語なら基本文法や語彙など、自分がどこで分からなくなったのかを探していきます。

⑤ テスト勉強は早めに始める

高校では科目数も学習量も増えるので、テスト直前にすべてを復習するのは難しくなります。

学校の提出物は早めに進めて、できなかった問題を解き直す時間を確保しておきましょう。

中学生のうちから早めにテスト勉強を始める習慣をつけたい人は、「定期テスト2週間前から何をする?」も参考にしてください。


6.中学生のうちから「高校で困らない勉強」を

高校に入ってから勉強のやり方を一気に変えるのは、簡単なことではありません。

だからこそ、中学生のうちから「高校でも使える勉強の習慣」を少しずつ身につけておきたいところです。

特に意識したいのは、次の5つです。

① 毎日少しでも勉強する

テスト前だけ集中して勉強するのではなく、普段から短い時間でも机に向かう習慣をつけておきましょう。

高校では学習内容も科目も増えるため、テスト前にまとめて復習するのは難しくなります。

「今日は英語を20分」「数学の問題を3問」のように、少しずつでも続けることが大切です。

② すぐに答えを見ず、自分で考える

分からない問題に出会ったら、すぐに答えや解説を見るのではなく、まず自分で考えてみましょう。

どの公式を使うのか、何を聞かれているのか、習った内容のどこにつながるのか。

そう考える時間が、高校で必要になる思考力につながっていきます。

もちろん、長い時間悩み続ける必要はありません。

大切なのは、答えを見る前に一度自分の頭で考える習慣です。

③ 間違えた問題を解き直す

問題を解いて丸つけをしたら終わり、にしないようにしましょう。

大事なのは、できなかった問題のほうです。

間違えた理由を確かめ、解説を読んだら、もう一度自分の力で解いてみます。

ここでも、BONDSが大切にしている「分かる→解く→できる」の流れが生きてきます。

解説を読んで「分かった」と思うだけでなく、何も見ずに解けるところまで確認する習慣を、今のうちに身につけておきましょう。

④ 分からないところを放置しない

中学の内容は、高校の学習につながっています。

特に数学や英語は、以前に習ったことを土台に次の学習が進んでいきます。

分からないところが出てきたら、「まあいいか」とそのままにせず、教科書に戻る、解説を確認する、先生に質問するなどして、できるだけ早めに解決しましょう。

この習慣は、高校に入ってつまずいたとき、分からなくなったところまで戻って確認する場面でも役立ちます。

⑤ テストから逆算して計画を立てる

テスト範囲が発表されてから慌てて始めるのではなく、テストまであと何日あるか、どの教科に時間がかかりそうか、学校のワークをいつまでに終わらせるかを考えて、逆算して予定を立てる練習をしておきましょう。

高校では科目が細かく分かれ、学ぶ範囲も広くなります。

すべての教科を同じように進めるのではなく、苦手な科目や時間のかかる科目から早めに始めるなど、自分で優先順位を考える力も必要になります。

この5つは、高校に入ってから急に必要になる特別な勉強法ではありません。

毎日勉強する → 自分で考える → 解き直す → 分からないところを解決する → 計画を立てる

この流れを中学生の今から少しずつ習慣にしておくことが、高校での学習をスムーズに進める土台になります。

何から勉強すればよいか迷う場合は、「テスト勉強は何から始める?5教科の『順番』の決め方」でも、優先順位の考え方を紹介しています。


7.保護者の方へ|点数より「どこで困っているか」を

高校に入って成績が下がると、保護者の方も心配になると思います。

ただ、「なんでこんな点数なの?」「もっと勉強しなさい」「中学ではできていたのに」と点数だけを責めても、具体的な解決にはなかなかつながりません。

まずは、

「どこが難しかった?」

「授業で分からなくなったところはある?」

「次はどこからやってみようか?」

と、原因を一緒に整理してみてください。

たとえば同じように数学の点数が下がったとしても、その原因はさまざまです。

  • 公式を覚えていない
  • 公式は分かるが使えない
  • 中学の内容につまずきがある
  • 演習量が足りていない
  • テスト勉強を始めるのが遅かった

原因によって、必要な対策は変わります。

点数そのものより、「どこで困っているのか」を見つけることが、立て直しの第一歩です。

高校生になると、自分で考えて行動する場面も増えていきます。

保護者がすべてを管理するのではなく、困ったときに相談できる環境を整えながら、少しずつ本人に任せていくことも大切です。

家庭での声かけや学習環境については、「成績が伸びやすい家庭の習慣とは?」でも詳しく紹介しています。


8.まとめ|変えるべきは「勉強量」だけではない

高校に入って成績が下がると、「もっと勉強時間を増やさなければ」と考えがちです。

もちろん、学習時間を確保することは大切です。でも、それだけでは解決しないこともあります。

高校では学習内容が難しくなり、科目も増えます。

だからこそ、普段から復習し、自分で弱点を見つけ、できなかった問題を解き直す。そんな勉強への切り替えが必要になります。

変えるべきなのは、「勉強量」だけでなく「勉強の仕方」なのです。

高1で一度成績が下がったとしても、そこで「高校の勉強は無理」と決めつける必要はありません。

まずは、どこから分からなくなったのかを確かめてみましょう。

そして、

「分かる→解く→できる」

まで、一つずつ積み重ねていけばいいのです。

中学生の人は、高校に入ってから慌てるのではなく、今のうちから毎日の学習、解き直し、分からないところの確認、計画を立てる習慣を身につけておきましょう。

高校生の人は、今の勉強方法が高校の学習に合っているか、一度見直してみてください。

高校の勉強に合ったやり方へ少しずつ切り替えていくことが、成績を立て直す第一歩になります。


参考資料・出典

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