サイトアイコン 学習塾BONDS

子どもの成績が下がったとき、親が最初にすること・してはいけないこと

「前回より20点も下がってるじゃない」
「ちゃんと勉強したの?」
「スマホばっかり見てるからでしょ!」

テストが返ってくる時期、答案用紙や通知表を見て、ついこんな言葉が口から出てしまった経験はありませんか。

一生懸命応援しているからこそ、点数が下がると焦りや不安がこみ上げてくる。保護者として、それはごく自然な反応です。

ただ、ひとつ覚えておいてほしいことがあります。成績が下がったというのは「結果」であって、「原因」ではないということです。

熱が出たときに、原因を調べずに解熱剤だけ飲ませても根本的な解決にはなりませんよね。成績も同じで、原因がわからないまま叱ったり、とにかく勉強時間を増やさせたりしても、状況はなかなか良くなりません。むしろ悪化してしまうこともあります。

成績が下がったときに親が最初にするべきなのは、「もっと勉強させること」ではなく、「いま子どもに何が起きているのかを、一緒に確認すること」です。

この記事では、国際的な教育データも参考にしながら、成績が下がったときの向き合い方を考えていきます。

1. まずは「原因」を探してみる

成績が下がる理由は、「勉強していないから」だけとは限りません。いくつかの要因が重なっていることも多いものです。よくある原因を整理すると、おおよそ次の7つに分けられます。

原因よく見られる状態
学習量テスト前しか勉強していない、問題を解く量そのものが減っている
学習方法教科書を読む・ノートを写すだけの作業になっている
理解不足前の学年や前の単元から分からなくなっている
定着不足授業を聞けば分かるが、一人では解けない
生活習慣睡眠不足、スマホの長時間利用、生活リズムの乱れ
学校生活部活動や学校行事、人間関係などで疲れている・悩んでいる
心理面点数が下がって自信や意欲を失っている、テストへの不安が強い


ここで特に大切なのが、「勉強していない」のか、それとも「勉強しているのに成果につながっていない」のかを分けて考えることです。

たとえば、毎日2時間勉強しているのに成績が下がった子に「もっと勉強しなさい」と言って3時間に増やしても、問題は解決しないかもしれません。この場合に見直すべきは、時間ではなく勉強のやり方だからです。

点数よりも「変化」に目を向ける

テストが返ってきたら、「何点だった?」で終わらせず、前回から何が変わったのかを見てみましょう。

数学だけが下がったのなら、特定の単元でつまずいていないかを確認します。英語と数学が下がったなら、積み重ねが必要な教科なので、以前の内容が抜けていないかを疑ってみてください。全教科が下がっているなら、勉強時間だけでなく、睡眠や生活リズム、部活動、学校生活まで含めて様子を見る必要があります。そして、勉強時間は増えているのに下がった場合は、勉強方法やアウトプットの量に問題があるのかもしれません。

こうして見ていくと、「成績が下がった=努力不足」とは単純に言い切れないことがわかります。「何点下がった?」から「なぜ下がった?」へ。視点を切り替えることが、原因を見つける第一歩です。

2. 叱る前に、まず話を聞く

成績が下がったとき、最初にかける言葉はとても大事です。

親としては心配だからこそ、「なんでこんな点数なの?」「このままだと高校に行けないよ」と言いたくなるものです。でも、子どもだって悪い点を取ろうと思ってテストを受けているわけではありません。「思ったよりできなかった」「勉強したのに点が取れなかった」と、本人もショックを受けているかもしれないのです。

聞きたいことが同じでも、聞き方ひとつで子どもの受け止め方は大きく変わります。

避けたい声かけこう聞き換えてみる
なんでこんな点数なの?今回はどのあたりが難しかった?
ちゃんと勉強したの?テスト勉強はどうだった?
スマホのせいじゃない?自分では何が原因だと思う?
もっと勉強しなさい次は何を変えたらよさそう?
○○君はできているのに前回と比べてどうだった?

問い詰めるような聞き方をされると、子どもは言い訳を探したり、怒られないように嘘をついたり、殻に閉じこもったりしがちです。反対に、考えるきっかけになる聞き方をすれば、難しかったところを振り返り、次にどうするかを自分で考えやすくなります。

ポイントは、親が原因を決めつけないことです。「スマホのせいだ」「気合いが足りない」と先に結論を出されてしまうと、子どもは「どうせ言っても無駄だ」と感じてしまいます。

成績への不安は、珍しいことではない

OECDが15歳を対象に実施した国際学習到達度調査(PISA 2022)では、OECD平均で65%の生徒が「数学で悪い成績を取ることを心配している」、55%が「数学で失敗することに不安を感じている」と答えています。さらに約40%が、数学の問題や宿題に取り組むときに緊張や無力感、不安を感じると回答しました。数学への不安は、2012年から2022年にかけて多くの参加国・地域で高まっています。

同じ調査の分析では、数学への不安が強い生徒ほど、分からない問題を先生や友達に質問したり、新しく習った内容を以前の内容と結びつけて理解しようとしたりといった、主体的な学習行動をとらなくなる傾向も示されています。

つまり、「できないから不安になる」→「不安だから勉強を避ける」→「さらに分からなくなる」という流れが起こりうるということです。叱られることへの恐怖や失敗への不安が強くなると、子どもは自分から学び直す気力を失ってしまいます。

だからこそ、成績が下がったときほど「どうしてできないの?」ではなく、「どこで困っている?」という姿勢で話を聞いてあげてください。

3. テストは「点数」ではなく「間違い方」を見る

答案が返ってくると、つい合計点に目が行きます。もちろん点数も大切ですが、次につなげるために本当に見てほしいのは、「どう間違えたのか」という中身です。

間違いは、大きく次の4つに分けられます。

知識不足は、英単語や漢字、公式、用語などを覚えていなかったケースです。暗記のやり直しなど、インプットの回数を増やすことが対策になります。

理解不足は、解説を読んでも「なぜそうなるのか」が納得できない状態です。教科書や授業の内容まで戻ったり、先生や塾の講師に質問したりして、考え方の根本から理解し直す必要があります。

定着不足は、解説を見れば「ああ、そうか」と分かるのに、自力では解けなかったケース。いわゆる「分かったつもり」の状態なので、解説を隠して自分の力で解く練習を繰り返します。

ケアレスミス・時間不足は、計算ミスや問題文の読み違い、解き方は分かっていたのに時間切れになってしまったケースです。普段からタイマーで時間を測って解く、見直しの手順を決めておくといった対策が効果的です。


たとえば同じ数学の60点でも、「公式を覚えていなかった60点」と「理解はしていたけれど計算ミスが多かった60点」では、次にやるべき勉強がまったく違います。

「もっと勉強する」は改善策にならない

テスト後の反省としてよく出てくるのが、「次はもっと勉強する」という言葉です。でも、これだけでは具体的に何をすればいいのかがわかりません。

「英単語を毎日10分復習する」「数学は間違えた問題を3日後にもう一度解く」「テスト1週間前から学校ワークの2周目に入る」。このくらいまで具体的にして、初めて行動に移せるようになります。

テストは単なる成績表ではなく、次に何を勉強すればいいかを教えてくれる診断材料なのです。

4. 成績が下がったとき、親がしてはいけない5つのこと

親が良かれと思ってとった行動が、かえって子どものやる気をそいでしまうことがあります。特に気をつけたいのが次の5つです。

① 感情的に長時間叱る

答案を見た瞬間に「何この点数!」と声を荒げたり、30分も1時間も説教を続けたりしても、子どもの頭の中は「早く終わってほしい」でいっぱいになります。反省や原因の分析に気持ちが向くことはまずありません。

② 他の子と比べる

「○○君は90点だったらしいよ」「お姉ちゃんはもっとできていたのに」。こうした比較は、子どもの自尊心を深く傷つけます。比べる相手は他人ではなく、「前回の自分」。そのほうが改善点も見つけやすくなります。

③ 原因を確かめずにスマホを取り上げる

スマホの使いすぎが勉強時間や睡眠を圧迫しているなら、ルールの見直しは必要です。ただ、成績が下がった原因が必ずしもスマホだとは限りません。話し合いもなく一方的に取り上げれば、反発や不信感が生まれるだけです。まずは使い方と成績の関係を一緒に確かめ、そのうえでルールを考え直しましょう。

④ 勉強時間だけを増やす

ノートを写すだけ、テキストをなんとなく眺めるだけといった勉強のまま時間を増やしても、疲れがたまるだけで成果にはつながりません。大切なのは「何時間勉強したか」よりも、「何ができるようになったか」です。量を増やす前に、まずは質を見直しましょう。

⑤ 対策を親がすべて決めてしまう

問題集も、勉強時間も、勉強する科目も、通う塾も全部親が決めてしまうと、子どもは「言われたからやる」という受け身の勉強になりがちです。少しずつでいいので、自分で原因を考え、自分で改善策を決める経験を積ませてあげてください。

「負の連鎖」を断ち切るのが親の役割

一番避けたいのは、子どもが自信を失ってしまうことです。

成績が下がる。家で叱られる。「自分はダメだ」と自信をなくす。間違えることが怖くなる。分からなくても質問せず、難しい問題を避けるようになる。分からないところがどんどん増えて、次のテストでさらに成績が下がる――。こうした負の連鎖に陥ってしまうことがあります。


PISA 2022では、家庭からより多くの支援を受けていると答えた生徒ほど、学校への所属感や生活満足度、自律的に学ぶことへの自信が高い傾向も報告されています。

これは「親が勉強を全部教えればいい」という意味ではありません。「困ったときに相談できる」「失敗しても次を考えられる」、そんな安心できる環境を家庭の中につくることが大切なのだと思います。

5. 「反省会」ではなく「作戦会議」を

テストが返ってくるたびに長々と説教をする必要はありません。おすすめしたいのは、未来に目を向けた「5分間の親子作戦会議」です。聞くことは、次の3つだけで十分です。

1つ目は、「今回できたところはどこ?」。いきなり失敗に注目するのではなく、「英語は下がったけど数学は上がった」「計算問題はできていた」といった、うまくいった部分から確認していきます。前向きな雰囲気をつくるためにも、ここは大事なスタートです。

2つ目は、「できなかった原因は何だと思う?」。親が答えを言う前に、本人に考えてもらいます。「ワークを始めるのが遅かった」「英単語を覚えていなかった」「応用問題をあまり練習していなかった」など、先ほどの間違いの4分類を参考にしながら、子ども自身の口から原因を話してもらいましょう。本人が気づくことが、改善の第一歩になります。

3つ目は、「次のテストまでに、ひとつだけ変えるとしたら何にする?」。ここが一番大切なところです。「毎日3時間勉強する」のような無理のある目標ではなく、「寝る前の15分は単語の暗記にあてる」「学校ワークをテスト3日前ではなく1週間前に終わらせる」といった、具体的で小さな目標をひとつだけ決めます。

そして次のテストのときに、それができたかどうかを一緒に振り返ります。結果を見て、原因を探し、改善策をひとつ決めて、実行し、次のテストで確かめる。うまくいかなければ、もう一度原因を考える。このサイクルを繰り返すことが、長い目で見ると「自分で勉強を改善していく力」につながっていきます。

家庭だけで抱え込まないで

家での様子を見ていても、「机には向かっているのに、なぜ成績が下がるのかわからない」と行き詰まることがあります。反抗期が重なって、親子ではなかなか冷静に話せないこともあるでしょう。

家庭で見える姿と授業中の姿は、必ずしも同じではありません。家では長時間机に向かっていても、実は基礎問題でつまずいていることがあります。逆に、家では全然勉強していないように見えても、授業中はしっかり集中して取り組めていることもあります。

PISA 2022によると、日本の15歳のうち74%が「数学の授業で先生が一人ひとりの学習に関心を示している」、84%が「必要なときに先生が追加の支援をしてくれる」と答えています。OECD平均はそれぞれ63%、70%でした。

学校や塾は、家庭からは見えにくい授業中の理解度やつまずきの原因を把握していることがよくあります。困ったときは遠慮せずに相談してください。家庭・学校・塾がそれぞれの立場から子どもを見ることで、原因が見えてくることもあります。

また、成績の低下だけでなく、「学校に行きたがらない」「眠れない」「食欲や元気がない」「好きだったことにも関心を示さなくなった」といった大きな変化が続いている場合は、勉強だけの問題と決めつけず、学校など適切な相談先につなぐことも大切です。

文部科学省の令和6年度の調査では、小・中学校の不登校児童生徒は約35万4千人と過去最多になりました。文部科学省も、子どもの小さなSOSを見逃さず、早めに支援につなげることの重要性を示しています。

6. 学習塾BONDSから保護者の皆さまへ

子どもの成績が下がれば、保護者の方が不安になるのは当然のことです。「このままで高校受験は大丈夫だろうか」「もっと勉強させたほうがいいのでは」「塾でもっと厳しく指導してもらったほうが……」。そんなふうに考えることもあると思います。

それでも私たちが大切にしたいのは、「何点下がったか」という結果だけを見ないことです。

成績が下がったのには、必ず何か理由があります。勉強時間が足りなかったのか。勉強のやり方が合っていなかったのか。前の学年や前の単元でつまずいたままになっているのか。「分かったつもり」で演習が足りていなかったのか。部活動や学校行事で疲れていたのか。あるいは、学校生活の中で何か悩みを抱えているのかもしれません。

原因が違えば、対策もまったく違ってきます。原因に合わない対策をいくら続けても、子どもも保護者の方も疲れてしまうだけです。

一度のテストで成績が下がることは、決して珍しいことではありません。大切なのは、その経験を「自分の勉強方法を見直すきっかけ」にできるかどうかです。

これから先、子どもたちは何度も思うような結果が出ない経験をするでしょう。そのたびに誰かに「勉強しなさい」と言われないと動けないのではなく、「なぜうまくいかなかったんだろう」「次はどうすればいいだろう」と、自分で考えられるようになってほしい。私たちはそう願っています。

成績が下がったときこそ、子どもが成長するチャンスです。「なんでこんな点数なの!」と責めるのではなく、「どこでつまずいてるのかな?次はどうやって取り返そうか」と、一歩引いて一緒に作戦を考えるパートナーになってあげてください。

家庭では子どもの話を聞く。学校では授業中の様子を見る。塾では学習内容や解き方、つまずきを確認する。それぞれの立場から子どもを見守り、一緒に次の一歩を考えていく――それが、子どもが自分で課題を見つけ、主体的に机に向かう「自立した学習者」へと育っていくための何よりの力になるはずです。

学習塾BONDSでは、目先の点数だけでなく、一人ひとりの「つまずきの原因」を丁寧に分析し、自分で問題を解決できる勉強法を身につけられるよう指導しています。「家での声かけに悩んでいる」「どこから復習させればいいかわからない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。子どもたちの「次は頑張りたい」という気持ちを、私たちが全力で応援します。

参考資料

・OECD(2023)「PISA 2022 Results (Volume II): Learning During – and From – Disruption」
https://doi.org/10.1787/a97db61c-en

・OECD(2024)「PISA 2022 Results (Volume V): Learning Strategies and Attitudes for Life」
https://doi.org/10.1787/c2e44201-en

・文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm

投稿者プロフィール

ikeda

Follow me!

モバイルバージョンを終了