―「もっと勉強しなさい」の前に見直したい5つのポイント―
「うちの子、毎日ちゃんと勉強しているんです」
「塾にも通っていて、宿題も欠かさずやっています」
「テスト前も机に向かっているのに、なかなか点数が上がらなくて……」
塾で保護者の方からよく聞く相談です。
これだけ頑張っているのだから、そろそろ成績が上がってもよさそうなもの
——親としては、そう思ってしまいますよね。
それでも結果が出ないと、つい「もっと勉強しないとダメじゃない?」「時間が足りないんじゃない?」という言葉が口をついて出てしまいます。
もちろん、学力を伸ばすには一定の学習量が欠かせません。ですが、ここで一度立ち止まって考えてみたいことがあります。
成績が上がらない本当の原因は、「勉強時間の不足」なのでしょうか?
実際のところ、「勉強しているのに伸びない」中学生には、ある共通点があります。
それは勉強していないことではなく、「勉強のやり方」と「成績につながる学習」のあいだにズレがあるということです。
「勉強した時間」と「学力」は同じではない
ある中学生が毎日2時間、平日は10時間、週末も含めると週に16時間勉強しているとします。
数字だけ見ればかなりの学習量です。
ところが、いざテストを受けてみると数学48点、英語52点、理科55点——という結果になることは珍しくありません。
ここで押さえておきたいのは、「16時間勉強した」という事実だけでは、学力がどれだけ伸びたかはわからないということです。
その16時間の中身が、
- すでに解ける問題ばかり繰り返していた
- 答えを見ながら解いていた
- 間違えた問題をそのままにしていた
- ノートをきれいにまとめることに時間を使っていた
- 苦手な単元を無意識に避けていた
というものであれば、時間の割に成績が伸びないのも不思議ではありません。
大切なのは「どれだけ勉強したか」ではなく、「勉強した結果、何ができるようになったか」なのです。
原因① 「勉強時間=努力」だと考えてしまう
最初の原因は、机に向かう時間の長さそのものが目的になってしまっていることです。
学習量は大切ですが、「今日は3時間やったからOK」で終わってしまうと、その中身が置き去りになります。
数学のワークを30ページ進めても、そのうち20ページがすでに解ける問題なら、学力を伸ばす時間としては効率がよくありません。
逆に、10問しか解いていなくても「今まで解けなかった問題が5問できるようになった」なら、それは大きな前進です。
これからは「今日は何時間勉強した?」ではなく、「今日は何ができるようになった?」と問いかけてみましょう。
| 悪い記録の例 | 良い記録の例 |
|---|---|
| 今日は3時間勉強した | 一次方程式を10問中8問、自力で解けた |
| ワークを30ページ進めた | 英単語を20個覚えて、翌日16個言えた |
| 塾の宿題を全部終わらせた | 理科の実験について自分の言葉で説明できた |
「机に座ること」から「できることを増やすこと」へ
—これが最初の大きな転換です。
原因② 「わかったつもり」で終わっている
二つ目は、「わかる」と「できる」を同じものだと思い込んでしまうことです。特に数学でよく見られます。
先生の説明を聞いて「なるほど!」、教科書の例題を見て「わかった!」と感じても、いざ家で一人で解いてみると手が止まる。
テストで数字や条件が少し変わっただけで、まったく解けなくなってしまう
これは「頭が悪い」わけでも「授業を聞いていなかった」わけでもなく、理解した段階から自力で使える段階まで練習が足りていないだけです。
「わかる」には段階がある
| 段階 | 状態 |
|---|---|
| ① | 説明を聞いて理解できる |
| ② | 解説を見れば理解できる |
| ③ | 何も見ずに自分で解ける |
| ④ | 問題の形が変わっても解ける |
| ⑤ | なぜその解き方になるのか説明できる |
学校の定期テストや高校入試で本当に問われるのは③〜⑤の段階です。
「授業でわかった」だけで満足せず、「じゃあ、何も見ずに自分で解いてみよう」という時間を意識してつくることが欠かせません。
原因③ 「間違い」を成績アップにつなげていない
成績が伸びる子と伸び悩む子を比べたとき、特に大きな差になるのが間違えた問題の扱い方です。
10問解いて8問正解、2問不正解だったとします。伸び悩みがちな勉強法では、間違えた2問に赤ペンで答えを書き写して「終わった」にしてしまいます。
しかし、本当に大事なのはここからです。
なぜ間違えたのか、原因によって次にすべきことは変わります。
| 間違えた原因 | 次にすべきこと |
|---|---|
| 公式を忘れていた | 公式を覚え直す |
| 計算ミスをした | 途中式を丁寧に書く練習をする |
| 解き方がわからなかった | 類題をもう一度解く |
| 問題文を読み違えた | 条件文に線を引く習慣をつける |
| 時間が足りなかった | 時間配分を見直して練習する |
間違いは「失敗」ではなく、「次に何を勉強すればいいかを教えてくれる情報」です。
テストの点数だけに一喜一憂するのではなく、間違えた問題の中にこそ次に伸ばせる点数があると捉えてみてください。
原因④ 「基礎の穴」を放置している
「数学が苦手」「英語が苦手」という生徒はたくさんいますが、それだけでは原因はわかりません。
数学ひとつとっても、分数の計算が苦手なのか、文字式なのか、方程式なのか、関数なのか、図形なのかで、必要な勉強はまったく違います。
しかも、「関数が苦手だから関数をもっと勉強する」が正解とは限りません。
関数につまずく原因が、実は比例・反比例の理解不足だったり、文字式の計算力不足だったり、グラフの読み取りの弱さだったりすることも多いからです。
中学数学のつながり(一例)
中1: 正負の数 → 文字式 → 方程式
中2: 連立方程式 → 一次関数
中3: 二次方程式 → 関数・図形
以前の内容に穴があると、その先の理解に苦労します。
だからこそ「今できない問題を繰り返し解く」だけでなく、「どこから分からなくなったのか」を遡って探すことが重要です。
原因⑤ 「自分の勉強を自分で管理していない」
最後の原因は、これからの高校入試を考えるうえでも特に重要な、自分の学習状況を自分で把握する力です。
「今日は2時間勉強した」とは言えても、「何ができるようになった?」と聞くと答えられない。
「どこが苦手?」と聞いても「全部」としか返ってこない。これでは次に何を勉強すればいいか、自分で決めることができません。
成績が伸びる子は、たとえば次のように自分の状態を具体的に把握しています。
- 数学は計算はできるけれど、文章問題が苦手
- 英語は単語は覚えているけれど、長文になると読めない
- 理科は用語は覚えているけれど、理由を説明できない
これは「勉強する力」から「勉強を改善する力」への変化です。
OECDのPISA2022の調査でも、学習者が自分の学習を計画・調整する力や学習方略を適切に使うことが重要なテーマとして扱われており、日本の15歳は数学的リテラシーで国際的に高い水準にある一方、学習を自分で動機づけたり調整したりする面には課題があると指摘されています。(出典:OECD)
これからの学習では、「先生に教えてもらう」だけでなく、「自分で自分の学習を修正する」姿勢がますます重要になっていきます。
愛媛県の高校入試では「普段の勉強」が重要になる
「これが高校入試とどう関係するの?」と思われたかもしれませんが、実は大きく関係しています。
愛媛県の県立高校入試では、学力検査は国語・社会・数学・理科・英語の5教科、それぞれ50点で合計250点満点となっています。
それに加えて、中学1年から3年までの評定をもとにした調査書点も合否に関わってきます。(出典:愛媛県公式サイト)
つまり、高校入試は「中3になってから始まるもの」ではなく、中1・中2の日々の学習の積み重ねが、そのまま中3の受験勉強につながっているのです。
「定期テスト」と「高校入試」はつながっている
中学生の中には「定期テストは学校の勉強、高校入試は受験勉強」と別物のように捉えている人もいますが、実際は一本の流れの中にあります。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 授業で理解する |
| 2 | 定期テストで確認する |
| 3 | 間違えたところを復習する |
| 4 | 実力テストで忘れていないか確認する |
| 5 | 入試問題で知識を使えるか確認する |
このサイクルが回せている生徒は、受験期になってからも伸びやすくなります。
反対に「テスト前だけ暗記して、終わったら忘れる」を繰り返していると、
中3になってから「中1の内容がわからない」「中2の関数が解けない」という壁にぶつかりやすくなります。
今治市の中学生こそ、「今から」の積み重ねを
今治市から高校進学を目指す場合も、「高校入試はまだ先」と感じやすい中1・中2の時期こそ、学習習慣を整える大切なタイミングです。
もちろん中3になってから本格的な受験対策に取り組むことは必要です。
ただし、中3になった瞬間に中1・中2の学習内容がすべて自在に使えるようになるわけではありません。
だからこそ、今のうちから次のような習慣をつくっておくことが大切です。
- わからないところを放置しない
- 間違えた問題をやり直す
- テストのあとに原因を分析する
- 苦手単元を具体的に言葉にする
チェックリスト:あなたのお子さんは大丈夫?
これまで紹介してきた5つの原因を、チェックリストにまとめました。当てはまる項目を確認してみてください。
① 勉強時間ばかり気にしている
- [ ] 「◯時間勉強した」ことを成果だと思っている
- [ ] ワークを何ページやったかで勉強量を判断する
- [ ] 勉強時間の割に点数が伸びない
② 「わかったつもり」になっている
- [ ] 授業ではわかるが、一人では解けない
- [ ] 解説を見れば理解できるが、自力では解けない
- [ ] 少し問題が変わると解けなくなる
③ 間違いを放置している
- [ ] 赤ペンで直して終わりにしている
- [ ] なぜ間違えたのか確認していない
- [ ] 同じような問題を何度も間違える
④ 基礎に穴がある
- [ ] 「数学が苦手」など、苦手な場所が具体的にわからない
- [ ] 前の学年の内容を復習することが少ない
- [ ] 基本的な計算や英単語でつまずくことがある
⑤ 自分の勉強を管理できていない
- [ ] 何ができて何ができないのか説明できない
- [ ] テスト後の振り返りをしていない
- [ ] 「次に何を勉強すればいいか」が自分で決められない
チェックの数が多かったからといって、「この子は勉強ができない」ということではありません。
むしろ逆で、「成績を伸ばすために、どこを変えればいいのかが見つかった」というサインです。
間違いを放置しているなら、今日から解き直しを始めればいい。基礎に穴があるなら、どこまで戻ればいいのかを探せばいい。
勉強時間だけを増やしているなら、「できるようになったこと」を記録すればいい。勉強方法は、いつからでも変えられます。
保護者の方にお願いしたいこと
子どもの成績が伸びないと、親としてはどうしても心配になります。
「もっと勉強しなさい」
「スマホばかり見てないで勉強しなさい」
「このままじゃ高校に行けないよ」
——そう言いたくなる気持ちもよくわかります。
ですが、本当に成績を上げたいのであれば、「もっとやりなさい」だけでなく、「どこで困っているの?」と聞いてみることをおすすめします。
| よくある聞き方 | おすすめの聞き方 |
|---|---|
| どの教科が一番苦手? | 今回のテストで、一番悔しかった問題はどれ? |
| 何時間勉強した? | 今回、前よりできるようになったことは何? |
そのうえで、「じゃあ、次はそこを一緒に改善してみよう」と声をかける。子どもの学習を「管理する」のではなく、
子ども自身が自分の学習を管理できるようにサポートすることが、遠回りのようで一番の近道です。
成績を上げるために必要なのは「もっと頑張ること」ではない
「勉強しているのに成績が上がらない」とき、「もっと勉強しなければ」と考えるのは自然なことです。
ですが、本当に必要なのは「もっと」ではなく「どのように」なのかもしれません。
勉強時間を増やすことだけでなく、
理解する → 自力で解く → 間違いを分析する → もう一度解く → 弱点を見つける → 次の学習を変える
というサイクルを繰り返していくこと。
それが「勉強した」を「学力が伸びた」に変えるための学習です。
愛媛県・今治市の高校入試に向けて、今からできること
高校入試は、ある日突然やってくるものではありません。
中1の今日の勉強、中2の今日の復習、中3の今日の一問
——そのひとつひとつが入試につながっています。
「まだ受験生じゃないから」ではなく、「今の勉強が受験につながっている」と捉えてみてください。
もし今、「勉強しているのに成績が上がらない」と悩んでいるなら、まずは勉強時間を増やす前に、
「なぜ成績につながっていないのか?」を一緒に探してみましょう。
原因が見つかれば、勉強方法は変えられます。
勉強方法が変われば、学習の質も変わります。
そして小さな「できた」の積み重ねが、成績を少しずつ動かしていきます。
成績アップは、「もっと頑張る」ことから始まるとは限りません。
「自分の勉強方法を見直すこと」から始まることもあります。
愛媛県・今治市で高校入試を目指す中学生の皆さん。
まずは今日の勉強から、「何時間やったか」ではなく、「何ができるようになったか」を意識してみてください。
その小さな変化の積み重ねが、これからの大きな成長につながっていきます。
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