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子どものやる気を引き出す親の声かけ&関わり方5選

「宿題やったの?」 「早く勉強しなさい!」 「いつまで遊んでいるの?」

子どもがなかなか机に向かわないと、つい口をついて出てしまう言葉たちです。

「将来困らないように」「少しでも学力を伸ばしてあげたい」

そんな優しい願いから出た言葉なのに、返ってくるのは「今やろうと思ってたのに!」「うるさいな」という反発。
気づけば家の中が、ぴりっと険悪な空気になっている……。そんな経験、ありませんか?

「勉強しなさい」と言い続けるのは、親にとっても子どもにとっても、地味に消耗するものですよね。

この記事では、最新の教育調査やOECDのPISA研究などを参考にしながら、子どもの「自分から勉強する力」を育てる親の関わり方と、今日から使える具体的な声かけを5つご紹介します。


1. 「勉強しなさい」と言ってしまうのは、あなたが悪いわけじゃない

まず最初にお伝えしたいのは、「勉強しなさい」とつい言ってしまう親御さんが、悪いわけでは決してないということです。

子どもが遊んでばかりで勉強しないと、「このままで大丈夫かな」と不安になるのは当たり前のこと。
その不安がつい言葉になって出てしまうのは、ごく自然な反応です。

実際、ベネッセ教育総合研究所の調査によると、小学4~6年生の72.4%が親から「勉強しなさい」と言われていると答えています。
およそ4人に3人の家庭で起きていることですから、決して珍しい話ではありません。(ベネッセ教育情報)

大切なのは、「言ってしまった」と自分を責めることではなく、これからの関わり方を少しずつ変えていくことです。


2. なぜ子どもは勉強を始めないのか?

子どもが勉強しないとき、つい「やる気がない」「怠けている」「危機感が足りない」と思ってしまいがちです。
でも実は、その裏にはいろいろな理由が隠れています。

つまり「勉強しない」というひとつの行動の背景には、子どもによって違う理由が潜んでいることが多いのです。

だからこそ、行動そのものを力づくで変えようとするのではなく、「何があったら始めやすそうかな?」と、子どもの側に立って考えてみる。
これが、変化の第一歩になります。


3. これからの学びに必要な「自律性」と「自己効力感」

これからの時代は、親が子どもを「指示して動かす」のではなく、子ども自身が学びをコントロールしていく力が大切になります。
その鍵となるのが、次の2つのキーワードです。

① 自律性(自分で考えて動く力)

自律性というと、「親に言われなくても何でも一人でできること」と思われがちですが、そうではありません。
本来の意味は、自分で考え、自分で選び、自分なりの理由を持って行動することです。

たとえば、「お母さんに言われたから宿題をする」という段階から、「先に宿題を終わらせてから遊ぼう」という段階へ。
さらには「今日は算数が難しそうだから、まず簡単な問題からやってみよう」という段階へ――。
こんなふうに、自分で学習をコントロールする経験を少しずつ積み重ねていくことが、自律性につながっていきます。

② 自己効力感(「自分ならできそう」という感覚)

自己効力感とは、簡単に言えば「自分ならこの課題に取り組めそうだ」という感覚のことです。

OECD(経済協力開発機構)のPISA 2022では、学習方略や学習への動機づけ、自己効力感の関係が分析されています。
数学に対する自己効力感は、問題解決や新しい方法を試すといった学習方略と正の関連を示しており、
わからないときに質問することとも強く結びついていました。ただし、こうした分析だけから、はっきりとした因果関係を断定することはできません。(OECD)

つまり「自分はできる」という感覚と、「わからないから、別のやり方を試してみよう」という学び方には、深いつながりがあると考えられます。

そしてこの感覚は、「何でもできると思い込ませること」で育つわけではありません。
むしろ「難しかったけれど、ここまではできた」「やり方を変えたら解けた」「前より少しわかるようになった」
――そうした小さな成功体験の積み重ねから、少しずつ育っていくものです。


4. 親の役割を「勉強させる人」から「環境を整える人」へ

過度な干渉は、子どもが自分で考え行動する機会を奪ってしまうリスクがあります。親の役割を、少しだけ変えてみましょう。

これまでこれから
親が指示を出して勉強させる子どもが自分で選び、挑戦できる環境をつくる
結果(点数)を評価する努力や工夫(プロセス)を見る
すぐに答えを教える自分で気づくためのヒントを渡す

これは「子どもを放っておく」という意味ではありません。
むしろ、必要なときにはしっかり支えながら、任せられる部分は子どもに任せていく、ということです。

ベネッセ教育総合研究所でも、過度な干渉は子どもが自分で考えたり行動したりする機会を奪い、自主性を妨げるリスクがあると紹介されています。
一方で、適切な関わりはやはり重要であり、子どもが困ったときにそっと支えるという距離感が提案されています。(ベネッセ教育情報)

放置するのではなく、「困ったときにそっと支える」という適切な距離感がポイントです。


5. 今日から使える!場面別「言い換え」声かけ集

命令口調ではなく、「自分で選ばせる」「具体的な次の行動を見せる」声かけに変換してみましょう。

場面①:勉強を始めないとき

「早く勉強しなさい!」の代わりに、「何時から始める?」「今日は何からやる?」「まず10分だけやってみる?」「一緒に始めようか?」

実際、2025年にベネッセが紹介した小学生保護者へのアンケートでは、「勉強してほしいときの声かけ」として
「勉強(宿題)は終わったの?」が26.6%、「何時から勉強するの?」が25.8%という結果でした。
一方で「勉強の時間だよ」は9.6%、「勉強しなさい」は6.3%にとどまっています。(ベネッセ教育情報)

ここで大切なのは、「『勉強しなさい』は絶対にダメ」という話ではないということです。
むしろ、その一言だけで終わらせず、「いつ・何をするか」を子ども自身が考えられるような声かけを増やしていく、という考え方です。

場面②:ゲームや動画をやめないとき

「いつまでゲームしてるの!」の代わりに、「あと何分で区切る?」「ゲームが終わったら次は何する?」「今日やることを一緒に確認しようか?」

「やめなさい」だけでなく、次の行動を見えるようにしてあげるのがポイントです。

場面③:「わからない」と止まっているとき

「ちゃんと考えてみなさい!」の代わりに、
「どこまではわかってる?」「どこで止まった?」「似た問題、前にやったことある?」「ヒントが必要?それとももう少し自分で考えてみる?」

すぐに答えを教えるのではなく、まずヒントを出す。それでも難しければ一緒に考える。
そして最後の一歩は本人に任せる。この小さな「自分で解決できた」という経験が、次の挑戦への自信になっていきます。

場面④:間違えたとき

「また間違えたの?」の代わりに、「どこで迷った?」「ここまでは合ってるね」「もう一回やるなら、どこを変えてみる?」

場面⑤:テストの点数が悪かったとき

「なんでこんな点数なの?」と言ってしまうと、子どもは「失敗=怒られること」だと受け止めてしまうかもしれません。
そこで、「一緒に間違えたところを見てみる?」「一番難しかったのはどこ?」「次はどういう作戦でやってみる?」
「前回と比べて、できるようになったところはある?」と聞いてみましょう。

たとえば「漢字を覚えていなかった」ということなら、「じゃあ、次は毎日5分だけ漢字をやってみる?」というように、具体的な行動につなげます。
大切なのは長々と反省会をすることではなく、「失敗する→原因を考える→次の方法を試す」というサイクルを、
日々の会話のなかに自然につくっていくことです。

💡 褒め方のコツ

「100点!天才!」と点数や能力そのものを褒めるよりも、
「間違えた問題をやり直したんだね」「昨日より集中できたね」「難しいところを先生に質問できたね」というふうに、
子どもの具体的な行動や工夫したプロセスを言葉にしてあげるほうが効果的です。

また、難しい問題を子どもが解けたときは、「頭いいね!」と言う代わりに、「どうやって解いたの?」と聞いてみるのもおすすめです。
子どもは自分の考え方をあらためて言葉にすることになり、それ自体が学びを振り返る時間になります。
OECDのPISA 2022でも、学習を自分でモニターしたり、問題解決の方法を考えたりする学習方略は、
自己効力感や生涯にわたる学びを支える重要な要素として扱われています。(OECD)

OECDも、自己効力感、学習方略、動機づけを、生涯にわたって学び続ける力を支える重要な要素として位置づけています。(OECD)


6. 「見守る」と「放任」は違う

ここでひとつ、注意しておきたいことがあります。「自主性を大切にするなら、親は何も言わないほうがいい」という誤解です。

これは違います。子どもが、何をすればいいのかわからない、学習方法がわからない、課題が難しすぎる、つまずきが長く続いている、疲れや不安を抱えている――そんな状態にあるときは、やはり親のサポートが必要です。

自律性を尊重するというのは、「全部自分でやらせること」ではありません。必要なところでは支え、任せられるところは任せる。

たとえば最初は、「今日は何をするか、一緒に計画しよう」と親子で考える。
慣れてきたら「今日はどういう予定にする?」と子どもに任せてみる。
さらには「今日は自分で決めてみる」へ――こんなふうに、親のサポートを少しずつ減らしていくことが、自律性を育てるひとつの方法になります。


7. 「ごほうび」は使ってはいけない?

「勉強したらゲーム30分」「テストで100点ならお菓子」――こうしたルールを家庭で決めている方もいるでしょう。

これも、「ごほうび=悪」と単純に考える必要はありません。
ベネッセ教育総合研究所でも、内発的な動機づけを大切にしながら、外発的な動機づけをうまく活用する考え方が紹介されています。(ベネッセ教育情報)

ただし、何をするにも「ごほうびがないとやらない」という状態になってしまうと、長期的には考えものです。

そこで、「勉強したらゲームできる」というだけでなく、「やることを終えたら、自分の好きなことをする」という生活リズムとして
捉え直してみるのもひとつの方法です。

また、「100点ならごほうび」よりも、「今週決めた学習に取り組めたら、週末は家族で好きなところへ行こう」というように、
結果だけでなく取り組みそのものに目を向ける方法もあります。


8. AI時代だからこそ「自分で学ぶ力」が重要になる

いま、子どもたちを取り巻く学習環境は大きく変化しています。わからないことがあれば検索できる。動画で解説を見ることもできる。
そして、生成AIに質問することもできるようになりました。

だからこそ、これからは「知識を覚えているかどうか」だけでなく、「何がわからないのかを自分で判断する」「必要な情報を探す」「答えを鵜呑みにせず確かめる」「自分に合う学び方を選ぶ」といった力が、ますます重要になっていきます。

PISA 2022でも、自分の学習を計画する、学習への意欲を自分で保つ、オンラインで自律的に情報源を探す、自分の進捗を評価するといった「自己主導型の学習」に対する自信が分析されています。(OECD)

家庭で「勉強しなさい」と言われ続けるだけでは、こうした力を身につけるのはなかなか難しいものです。親の役割も、「勉強をさせる人」から「学び方を一緒に考える人」へ。少しずつ変わっていくことが求められているのかもしれません。


まず試してほしい「3つの声かけ」

いろいろ書いてきましたが、「一度に全部意識するのは難しい……」という方は、まず次の3つだけ試してみてください。

  1. 「勉強しなさい」→「いつからやる?」(予定を自分で決めさせる)
  2. 「ちゃんとやって」→「どこから始める?」(やることを小さく分ける)
  3. 「できたね」→「どうやって解いたの?」(工夫を振り返らせる)

まとめ:親が変わると、子どもの「学び方」も変わる

親の役割は、子どもを動かし続けることではありません。子どもが「自分で考えて決めた」「やってみたらできた」と感じられる機会を、少しずつ増やしていくことです。

一朝一夕で完璧に変わる必要はありません。
「今日は少し言うのを待ってみよう」「答えを教える前に、一つ質問してみよう」「できた結果ではなく、頑張った過程を見てみよう」
――そんな小さな意識の変化で十分です。

「勉強しなさい」という言葉を、完全になくす必要もありません。
ただ、その一言だけに頼らない。「何からやる?」「どうしたらできそう?」「やってみてどうだった?」
――そんな言葉を、少しずつ増やしてみてください。

今日の親子の会話から、お子さんの「自分から学ぶ力」を少しずつ育てていきませんか?


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